ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスは日本時間2021年10月5日、有人宇宙船「ソユーズMS-19」の打ち上げを実施しました。ソユーズMS-19は打ち上げからおよそ3時間後に国際宇宙ステーション(ISS)へ到着し、搭乗していた3名のクルーは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の星出彰彦宇宙飛行士ら第65次長期滞在クルーの7名と無事合流しています。
今回打ち上げられたソユーズ宇宙船にはロスコスモスのアントン・シュカプレロフ(Anton Shkaplerov)宇宙飛行士をはじめ、民間人のクルーとして女優のユリア・ペレシルド(Yulia Peresild)さんと監督のクリム・シペンコ(Klim Shipenko)さんが搭乗しました。ペレシルドさんとシペンコさんはロスコスモスやロシアの放送局チャンネル1などによる科学教育プログラムの一環として、ISS滞在中に長編映画「Challenge」(チャレンジ、挑戦)の撮影を行います。
関連:ISSで映画撮影! 民間人が搭乗する「ソユーズMS-19」打ち上げ準備進む
ソユーズMS-19を搭載したロケット「ソユーズ2.1a」は、10月5日17時55分(日本時間、以下同様)にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられました。約9分後にソユーズロケットの第3段から分離したソユーズMS-19は地球を2周しながら高度を上げていき、打ち上げから3時間27分後の同日21時22分にISSロシア区画の小型研究モジュール1「ラスヴェット」へのドッキングに成功しています。
なお、普段のソユーズ宇宙船とISSのドッキングには自動ドッキングシステム「Kurs」が用いられますが、今回のドッキングはシュカプレロフ飛行士が手動で行いました。ロシアのタス通信はロスコスモスのドミトリー・ロゴージンCEOの言葉として、今回の飛行では自動ドッキングシステムに不具合が生じたため手動制御に切り替える必要があったことを報じています。
ソユーズMS-19が到着したことで、現在ISSには合計10名のクルーが滞在しています。シュカプレロフ飛行士はこれから半年間ISSに滞在しますが、ペレシルドさんとシペンコさんは12日間の短期滞在です。民間人の両名はロスコスモスのオレッグ・ノヴィツキー(Oleg Novitskiy)宇宙飛行士とともに宇宙船「ソユーズMS-18 “ユーリ・ガガーリン”」に搭乗して10月17日にISSを離れ、地球へ帰還する予定です。
関連:ISS係留中のソユーズ宇宙船が短時間の飛行を実施、ロシア新モジュールと初ドッキング
Image Credit: NASA, Roscosmos
Source: NASA / Roscosmos / TASS
文/松村武宏