NASAは9月28日、カリフォルニア大学バークレー校のマイケル・ウォンさん率いる研究チームが、ハッブル宇宙望遠鏡のデータを使って、木星の大赤斑の風速が最大で8%加速していることを突き止めたと発表しました。
大赤斑は木星の南半球にある渦状の巨大な高気圧性の嵐です。1665年にジョヴァンニ・カッシーニによって発見されました。その直径は、最新の観測では「16000km」ほどで、地球(直径12742kmほど)がすっぽり入る大きさになります。
しかし、残念ながら、その形成原因・構造などについては、まだ詳しくは解っていません。
このような大赤斑の画像において、緑色で強調された最も外側のリング状の部分の風速が、2009年から2020年までの間に、最大で8%加速していることが解りました。その風速は、現在、時速640kmを超えるといいます。
研究チームは、2009年から2020年までの長期間に及ぶハッブル宇宙望遠鏡の観測データを、新たに数万から数十万もの風ベクトル(wind vectors 、風速と方向を示すベクトル)を追跡できるソフトウェアを使って分析することで、これを突き止めました。
しかし、このような風速の加速が何を意味するのかについては、研究チームによれば、まだよく解っていないといいます。なぜなら、ハッブル宇宙望遠鏡のデータからは、大赤斑の内部がどのようになっているのかまでは読み取れないからです。
ただ、研究チームによれば、今回の研究成果は、大赤斑がどのようにしてエネルギーを得ているのか、そして、そのエネルギー源はどのようにして維持されているのか、など大赤斑にまつわるさまざまな謎を解明していくうえで、興味深い手がかりの1つになるといいます。
マイケルさんは「大赤斑を完全に理解するためには、まだまだたくさん研究する必要があります!」とコメントしています。
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Image Credit: NASA, ESA, Michael H. Wong (UC Berkeley)
Source: NASA
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)