こちらの画像は10月12日付で公開されたNASAの「本日の1枚」です。ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された超新星残骸N63Aの画像です。
N63Aは私達の天の川銀河から16万光年ほど離れた不規則銀河「大マゼラン雲」の星形成領域にあります。ちなみに、不規則銀河とは、その形態が、楕円銀河、レンズ状銀河、渦巻銀河、棒渦巻銀河などのハッブル分類に当てはまらない銀河の総称です。
太陽の8倍以上の質量を持つ重い星はその最後に大爆発を起こします。これを超新星爆発といいます。その後には中性子星やブラックホールなどが残されます。
超新星残骸は、この超新星爆発の名残で、物凄い速さで膨張しています。有名な超新星残骸の例としてはおうし座のかに星雲などが知られています。かに星雲は、1054年に起こった超新星爆発の名残で、地球から7000光年ほどのところにあります。
ところで、星の死である超新星爆発と星の誕生である星の形成は深く関係していると考えられています。
星の死である超新星爆発が星の誕生である星形成と深く関係しているとは、とても不思議な感じがしますが、超新星爆発が発生させた衝撃波によって、周りのガスやチリが押し集められ濃くなることで、星の形成が始まると考えられているのです。
ただ、N63Aは、まだ超新星爆発を起こしてからあまり時間がたっていないために、星の形成を引き起こしているというよりは、むしろ、星の形成に必要なガスやチりを吹き飛ばしている状態だそうです。
Image Credit: NASA/ESA/HEIC and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA)
Source: NASA
文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)