冒頭の画像は月の自然な色だけを使って、独創的な視覚表現がなされています。
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月の円盤は、撮影された時期が異なっており、大きなフレーム(額縁)の中にそれぞれピクセル(画素)として配置されています。月の色合いの変化は、大気の状態や月・地球・太陽の位置関係によって反射する太陽光の影響によるものです。ここでは、最も暗い月の円盤は「地球照」の色になっています。
さて、ここでクイズです! この「絵」には、ある有名な芸術作品が隠されていますが、それは何でしょうか? モニターから離れ画像を小さくして(遠くから)眺めてみると良いかもしれません。
答はこちらです。そう、レオナルド・ダ・ビンチの「モナリザ」です。この画像は2021年10月16日付けのAPOD(Astronomy Picture of the Day)で紹介されましたが、そのタイトルは「The Moona Lisa」! 「モナリザ」ならぬ「ムーナリザ」とでも訳せば良いでしょうか。
ダ・ビンチは500年以上も前に地球照の存在に気づき、記述していたことが知られています。
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次に、こちらの絵は「ローヌ川の星月夜」と呼ばれるゴッホの名作の一つです。
ローヌ川(スイス・フランスを流れる川)の上空に輝いている7つの星は「北斗七星」と思われます。
ここで、もう一つクイズです! この絵が描かれた季節はいつでしょうか? フランスは日本より緯度が高いですが、日本と同じ北半球にあるので、日本での北斗七星の見え方を思い出してみてください。
答は「秋」です。地平線近くにヒシャクを置いたような形に見えるのは「秋」になります(時間帯が違えば、見える位置も違ってくるので注意してください)。
実際「ローヌ川の星月夜」は1888年9月に描かれたと言われています。天文の知識が絵画の鑑賞に役立つ一例と言えるかもしれません。
また「The Moona Lisa」のように、天文とアートのコラボレーションは、今後もさらにユニークな作品を創り出していくことでしょう。大いに期待したいものです。
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Image Credit: Gianni Sarcone and Marcella Giulia Pace、Vincent van Gogh, Wikipedia; Acknowledgement: B. Schaefer (LSU)、多摩六都科学館
Source: APOD (1) (2) 、MUSEY
文/吉田哲郎