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火星の幻想的な風景、NASAが探査車「キュリオシティ」撮影の画像から作成

sorae.jp 2021年12月2日 21時0分

【▲NASAジェット推進研究所が公開した火星探査車キュリオシティからの「絵葉書」(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」のナビゲーションカメラを使って撮影された画像です。青色とオレンジ色の光に照らされた火星の景色が幻想的ですが、これは擬似的に着色されたものであり、実際にこのような景色が見られるわけではありません(詳しくは後述)。

2012年8月に火星のゲール・クレーター(直径約154km)へ着陸したキュリオシティは、2014年からクレーターの中央にそびえるアイオリス山(シャープ山、高さ約5000m)で探査活動を行っています。画像を公開したNASAのジェット推進研究所(JPL)によると、遠くに見えている稜線はゲール・クレーターの縁(外輪山、高さ約2.3km)で、撮影地点からは30~40km離れているといいます。

また、画像の右端には2021年1月に亡くなったキュリオシティ運用チームの科学者ラファエル・ナバロ・ゴンザレス(Rafael Navarro-González)さんにちなんで名付けられた「ラファエル・ナバロ山」(高さ120m)が写り込んでおり、その背後にはアイオリス山の一部も見えています。

【▲キュリオシティが撮影したラファエル・ナバロ山の全景(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

JPLによると、キュリオシティは走行を終える度にモノクロのナビゲーションカメラを使って周囲360度の様子を撮影し、地球へ送信しやすくするために低品質の画像として保存しています。

冒頭の画像は2021年11月16日にアイオリス山の麓の方向へカメラを向けて撮影されたもので、パノラマ画像の撮影にも用いられているカラー撮影が可能なカメラ「Mastcam」による画像ほどの品質はないものの、運用チームはこの場所からの美しい眺めに強く刺激されたといいます。

【▲キュリオシティのナビゲーションカメラを使って2021年11月16日8時30分に撮影された画像。太陽は右上で輝いている(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

【▲キュリオシティのナビゲーションカメラを使って2021年11月16日16時10分に撮影された画像。8時30分の画像とは太陽の位置や日光に照らされている場所が異なる(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

そこで運用チームは、11月16日の現地時間8時30分に撮影された画像を青色に、16時10分に撮影された画像をオレンジ色に、双方が組み合わさる部分を緑色に着色した上で1枚に合成することで、冒頭の画像を作成したといいます。朝と夕方では太陽の位置が異なるため、空の明るい部分や火星表面の太陽に照らされている部分にも違いが現れますが、この違いが独特の雰囲気を生み出しているわけです。

冒頭の画像は「NASA's Curiosity Rover Sends a Picture Postcard From Mars」(NASAの探査車キュリオシティが火星から絵葉書を送る)のタイトルで、JPLから2021年11月23日に公開されています。

 

関連:火星の珍しい曇りの日。探査車キュリオシティは「真珠母雲」も撮影

Image Credit: NASA/JPL-Caltech
Source: NASA/JPL
文/松村武宏

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