こちらはクールー(フランス領ギアナ)のギアナ宇宙センターで進められている宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」の打ち上げ準備作業の様子です。透明のカーテンに囲まれた空間、その天井の開口部から姿を現しているのがウェッブ宇宙望遠鏡の本体で、その下には欧州の「アリアン5」ロケットの上段(第2段)の頂部が見えています。
アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)は、現地時間12月11日にウェッブ宇宙望遠鏡とアリアン5の結合作業が完了したことを12月14日付で明らかにしました。
NASAとESA、それにカナダ宇宙庁(CSA)の新型宇宙望遠鏡であるジェイムズ・ウェッブは、六角形の鏡を18枚組み合わせた直径6.5mの主鏡を持ち、赤外線の波長で天体を観測する宇宙望遠鏡です。
欧州のアリアン5ロケットを使って打ち上げられたウェッブ宇宙望遠鏡は、1か月ほどかけて地球と太陽のラグランジュ点のひとつ「L2」(地球からの距離は約150万km)まで移動。L2到着後に機器の冷却や較正などを行い、打ち上げからおよそ6か月後に観測を開始する予定です。
12月3日に推進剤の充填作業を終えたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はその後、アリアン5ロケットが待つ最終組立棟へと運び込まれました。作業当日、ウェッブ宇宙望遠鏡は高さ約40mまで慎重に吊り上げられた後に、アリアン5の上段とアダプターを介してボルトで結合されました。
結合作業は上下2段のプラットフォームに挟まれた空間で行われましたが、ウェッブ宇宙望遠鏡が汚染されるのを防ぐため、冒頭の画像のように特製のカーテンを使って閉鎖された空間を作り出した上で作業が実施されたとのことです。
NASAやESAによると、今後の準備作業はアリアン5の飛行中にウェッブ宇宙望遠鏡を保護するフェアリングの取り付けへと進みます。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げは日本時間2021年12月22日21時20分の予定です(※天候などの理由で変更される可能性もあります)。
▲ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げから主鏡の展開完了までの様子を示した動画▲
(Credit: ESA/ATG medialab)
関連:12月22日打ち上げ予定の新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」推進剤の充填完了
Image Credit: ESA-M.Pedoussaut
Source: ESA
文/松村武宏