スペースXは日本時間2021年12月21日19時7分、国際宇宙ステーション(ISS)への商業補給サービス「CRS-24」ミッションの無人補給船「カーゴドラゴン」運用24号機を搭載した「ファルコン9」ロケットを、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げました。
離陸から約12分後に切り離されたカーゴドラゴンは、日本時間12月22日17時41分にISS第2結合部「ハーモニー」の天頂側ドッキングポートへ自律的にドッキングすることに成功。打ち上げに使われたファルコン9の第1段はドローン船への着陸に成功しています。
同社は日本時間12月18日から19日にかけて2機のファルコン9を相次いで打ち上げています。今回のカーゴドラゴンは直前の打ち上げ(トルコの通信衛星「Turksat-5B」を搭載)から54時間9分後に打ち上げられており、70時間以内に3機のファルコン9が打ち上げられたことになります。
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NASAによると、今回打ち上げられたカーゴドラゴンには消耗品や実験装置など合計約3トンの補給物資が搭載されていました。そのなかには科学実験・研究用の物資としてドイツ航空宇宙センター(DLR)が開発した救急処置用のバイオプリンター「Bioprint FirstAid」(傷口を覆い治癒を促す組織パッチを患者自身の皮膚細胞を使って作成する携帯型の装置)や、アメリカ航空宇宙局(NASA)とP&Gが共同開発した宇宙用の洗剤「Tide Infinity」(完全分解可能で微小重力環境や水再生システムにも対応)などが含まれています。これらは将来の月や火星における有人探査ミッションだけでなく地球上での応用も期待されています。
なお、スペースXは今年合計8名の宇宙飛行士と12トン以上の物資をISSに輸送し、9月には4名の民間人クルーのみによる初の宇宙飛行「Inspiration4」も実施しました。同社の衛星ブロードバンドサービス「スターリンク」で使用されているスターリンク衛星は、今年だけで800基以上が軌道に投入されたといいます。
また、今回のCRS-24ミッションの打ち上げはスペースXにとって2021年では31回目の打ち上げであり、今年最後の打ち上げとなりました。同社によると、打ち上げの成功回数は今回で138回を数え、ファルコン9ロケット第1段の着陸成功回数はちょうど100回に到達。第1段の再使用回数は合計78回で、2017年の初飛行以来ファルコン9の打ち上げのうち75パーセントで用いられており、今年に限れば打ち上げの94パーセントで再使用された第1段が用いられたといいます。
ファルコン9ロケット第1段の着陸・再使用がもはや当たり前となった同社ですが、来年は開発中の完全再使用型宇宙船「スターシップ」による初の軌道飛行試験が予定されています。2022年もスペースXの動きから目が離せなくなりそうです。
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Image Credit: SpaceX
Source: SpaceX / NASA
文/松村武宏