こちらは「おひつじ座」の方向およそ1億5000万光年先にある渦巻銀河「NGC 976」です。先日公開された「NGC 105」と同じように、多くの星々が集まる明るい銀河バルジを中心に、若く高温な青い星々の散らばる渦巻腕が穏やかに渦巻いているNGC 976の姿が、画像には精細に捉えられています。
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NGC 976では1999年9月に超新星「SN 1999dq」(Ia型)が検出されています。晩年を迎えた大質量星のコア(中心部)が崩壊したり、連星をなす白色矮星に恒星のガスが降り積もったりすることで起きるとされる超新星爆発は、壮大な星の死であると同時に、その後に誕生する恒星や惑星といった天体の材料となる物質を生成・放出する現象でもあります。私たちの身体を形作る炭素・酸素・窒素といった元素も、かつてこの宇宙に存在していた恒星内部の核融合反応で生成されたものなのです。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「広視野カメラ3(WFC3)」による可視光線・赤外線の観測データから作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚「Galactic Tranquility」として、欧州宇宙機関(ESA)から2022年1月10日付で公開されています。
なお、アメリカ航空宇宙局(NASA)の発表によると、ハッブル宇宙望遠鏡は今年に入って軌道投入から「10億秒」が経過しました。ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられたスペースシャトル「ディスカバリー」によるSTS-31ミッションで宇宙へと運ばれ、同年4月26日4時38分頃(日本時間)にロボットアーム「カナダアーム」を使って地球低軌道に投入されています。
NASAによれば、10億秒を迎えたのは現地時間2022年1月1日とのこと(日本時間では2022年1月2日6時25分頃、カシオの「高精度計算サイト」にて算出)。NASAは発表にて先日打ち上げに成功した「ジェイムズ・ウェッブ」や、2020年代半ばの打ち上げが計画されている「ナンシー・グレース・ローマン」といった次世代の宇宙望遠鏡に触れ、今はまだ想像することしかできない「これからの10億秒」でもたらされる発見に期待を述べています。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Jones, A. Riess et al.
Source: ESA/Hubble / NASA / NTRS
文/松村武宏