「宇宙天気」という言葉をご存じでしょうか。太陽で起こった現象によって地球が影響を受けるもので、過去には海外で停電が起きたこともあります。一般の人が注意するような規模のものは少ないですが、最近はテレビのニュースでも取り上げられるなど注目を集めています。
地球に影響をおよぼす太陽の現象としては「太陽フレア」が有名です。しかし、気をつけなければいけないのはフレアだけではありません。その1つが「プロミネンス」で、画像では右上でアーチ状に大きく飛び出している、ガスのかたまりです。
この画像自体は古く、欧州宇宙機関(ESA)とNASAの観測衛星「SOHO」が1999年に観測したものです。SOHOの観測装置「EIT」はヘリウムからの光をとらえており、その温度は約6万度。プロミネンスは炎のような見た目をしていますが、実は画像の中でも暗いところほど温度が低く、太陽のコロナ(100万度以上)に比べるとむしろ「冷たい」ガスとも言うことができます。このプロミネンスの大きさは、太陽の直径が地球を約109個並べたくらいであることから考えると地球20~30個ほどになるでしょうか。
プロミネンスはこのようにアーチ状になったり、太陽の上で浮かんでいるように見えたりすることがあります。その理由は、太陽にある磁場がガスをとらえているためと言われています。プロミネンスは太陽から飛び出すことがあり(プロミネンス噴出)、その向きなどによって地球に影響をおよぼす可能性があります。画像のようなプロミネンスは迫力がありますが、宇宙天気としても注目すべき現象なのです。
プロミネンスは皆既日食の際、太陽のまわりで赤い炎のように見えるそうです。太陽はこれから活動が活発な時期になっていくと言われています。宇宙天気としては注意が必要ですが、天体観測の1つとして、もし機会があればチェックしてみてはいかがでしょうか。
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Image Credit: NASA, ESA, SOHO-EIT Consortium NASA - Astronomy Picture of the Day文/北越康敬