地球の近くにある最も危険な星は何でしょうか?
そんな話題がNASAのAPOD(Astronomy Picture of the Day:今日の天文写真)で紹介されています。
ここで登場する天体は、地球からわずか1万光年も離れていない場所に位置し、太陽の100倍ほどの質量を持つ連星系「りゅうこつ座イータ星」(Eta Carinae:イータ・カリーナ)です。
りゅうこつ座イータ星は、たびたび増光することが知られており、1840年代には、シリウスに次ぐ明るさまで増光した後、数十年のうちに消えてしまいました。これは、超新星爆発を起こしたものではなく、擬似的超新星によるものだと考えられています。また、りゅうこつ座イータ星は、その現象によって形成された、厚く膨張した二つの耳たぶのような構造の「人形星雲」(Homunculus Nebula)に取り囲まれています。
NASAは、その噴出物で形成された星雲を衛星観測により、3次元構造を可視化した動画を公開しています。赤外線、可視光線、紫外線、そしてX線でしか見えない100万度にもなる物質の最外殻まで再現されていることが分かります。
ところで、最も危険な星であるという理由ですが、研究者は「りゅうこつ座イータ星は、あと数百万年で(疑似ではない)超新星爆発を起こし、地球に危険なガンマ線を浴びせる可能性のある時限爆弾だ」と述べています。
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Video Credit: NASA, CXC, April Hobart APOD - Eta Car: 3D Model of the Most Dangerous Star Known文/吉田哲郎
編集/sorae編集部