画像中央に写っている花のようにも見える物はいったい何でしょうか?
火星の古代の花の化石だったら大発見なのですが、そうではありません。これまで火星で発見された岩石の中で、最も珍しいものの一つなのです。大きさは1セント硬貨よりも小さいとのこと。
この「花」は、右側に見える球状の岩石とともに、太古の昔、水によって運ばれた鉱物が岩を固めたのではないか、と現在は説明されています。
つまり、既存の岩石の割れ目や裂け目に、水によって鉱物が堆積してできた「コンクリーション」(堆積物の隙間に鉱物が凝結してできた塊)の一種であるという説です。このコンクリーションは、周囲の岩石よりも硬くて密度が高く、周囲の岩石が侵食された後でも残ることがあります。
ちなみに、この小さな岩石は「ブラックソーン・ソルト」(Blackthorn Salt)と名付けられたそうです。「ブラックソーン」とは「スピノサスモモ」という植物のこと。
この画像は、2022年2月24日、NASAの火星探査機「キュリオシティ」が、ロボットアームの先端に設置されたマーズ・ハンド・レンズ・イメージャー(Mars Hand Lens Imager:MAHLI)カメラで撮影したもの。キュリオシティは過去にも、鉱物を含んだ流体が岩石内の水路を通ったときにできた、さまざまな種類の小さな地形を発見しています。
このような地形の画像は、ゲール・クレーターにおける液体の水の長期的な歴史について、科学者がより深く理解するのに役立っているということです。
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なお、この画像は「Curiosity Finds a Martian Flower」のタイトルで、NASA/JPL-Caltechに3月1日付けで公開され、3月9日付けのAPOD(Astronomy Picture of the Day)でも「A Flower-Shaped Rock on Mars」のタイトルで紹介されています。
キュリオシティが撮影する画像は、その名のとおり好奇心を刺激してくれるので目が離せませんね。
Source
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS NASA - Curiosity Finds a Martian Flower APOD - A Flower-Shaped Rock on Mars文/吉田哲郎