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アマゾンが衛星コンステレーション構築に向けて民間宇宙企業3社と契約。合計3236機を打ち上げ予定

sorae.jp 2022年4月11日 11時54分

アマゾンは2022年4月5日、同社が進める衛星コンステレーション計画「プロジェクト・カイパー」(Project Kuiper)の衛星打ち上げに関して、民間宇宙企業のアリアンスペース、ブルーオリジン、ユナイテッドローンチアライアンス(ULA)の3社を選定したと発表しました。

3社による衛星打ち上げ回数は5年間で最大83回とされており、アマゾンは「歴史上最大の打ち上げサービス契約となる」とコメントしています。

【▲ プロジェクト・カイパーの打ち上げに選ばれた3社の新型ロケット。左から:ヴァルカン・セントール(ULA)、ニューグレン(ブルーオリジン)、アリアン6(アリアンスペース)(Credit: Amazon)】

プロジェクト・カイパーは、アマゾンが「手頃な価格で高速かつ低遅延のブロードバンドサービスを提供する」ために構築を目指している衛星コンステレーション計画で、地球低軌道に投入される3236機の衛星が用いられます。

今回の契約ではアリアンスペースの「アリアン6」ロケットによる18回、ブルーオリジンの「ニューグレン」ロケットによる12回、そしてULAの「ヴァルカン・セントール」ロケットによる38回の打ち上げが契約されました。ブルーオリジンは15回の追加打ち上げも獲得しており、打ち上げ回数は最大で83回となります。

今回アマゾンと契約を結んだ3社のロケットは、アリアン6が仏領ギアナのギアナ宇宙センターから、ニューグレンが米国フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地第36発射施設から、ヴァルカン・セントールが同第41発射施設から打ち上げられる予定です。3つのロケットは2022年4月7日の時点でいずれも開発中で、2022年もしくは2023年に初打ち上げが予定されています。

【▲ アリアンスペースが開発中の「アリアン6」ロケット。プロジェクト・カイパーの衛星打ち上げではブースターを4本取り付けた「アリアン64」構成が用いられる見込みだ(Credit: Arianespace)】

なお、アマゾンは2021年4月にもULAとの間でプロジェクト・カイパーの打ち上げ契約を結んでいます。この契約ではULAが運用中の「アトラスV」ロケットによる9回の打ち上げ機会が確保されており、今回発表された契約はこれに続くものとなります。

また、アマゾンはアメリカの民間宇宙企業ABL Space Systemsとも打ち上げ契約を結んでおり、2022年第4四半期までに同社の「RS1」ロケットを使って2機の試験衛星「KuiperSat-1」と「KuiperSat-2」が打ち上げられる予定です。

アマゾンの上席副社長Dave Limp(デイブ・リンプ)氏は、複数の打ち上げ業者を選択したことについて、スケジュールによる打ち上げの遅れを減らすことやコスト削減のメリットに言及しています。契約額は明らかにされていませんが、海外メディアのSpaceNewsは、100億ドルを上回る衛星コンステレーション構築費用のうち数十億ドルが費やされたと報じています。

 

Source

Image credit: Amazon, Arianespace Amazon - Amazon makes historic launch investment to advance Project Kuiper Amazon - Project Kuiper announces plans and launch provider for prototype satellites Blue Origin - Amazon Selects Blue Origin’s New Glenn for up to 27 Project Kuiper Constellation Launches Arianespace -Arianespace signs unprecedented contract with Amazon for 18 Ariane 6 launches to deploy Project Kuiper constellation ULA -Amazon Signs Contract with United Launch Alliance for 38 Project Kuiper Launches on Vulcan Centaur Space News - Amazon signs multibillion-dollar Project Kuiper launch contracts

文/出口隼詩

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