ドイツのマックス・プランク太陽系研究所は2月22日、アメリカ航空宇宙局(NASA)の小惑星帯探査機「ドーン」のデータを分析した同研究所のアンドレアス・ナチュース博士率いる研究チームによって、準惑星「ケレス」の南半球にあるウルヴァラ・クレーター内に「塩」と一緒に「有機物」が堆積していることが明らかになったと発表しました。
研究チームによれば、これらの塩や有機物は、氷火山の火山活動(低温火山活動)によって堆積した可能性があるといいます。
準惑星ケレスは火星と木星の公転軌道の間に存在する小惑星帯の中でも最大の天体で、その大きさは直径約960kmほどにもなります。NASAの小惑星帯探査機ドーンは、2007年に打ち上げられてから2018年に燃料切れで運用が停止されるまで、小惑星帯にあるケレスや小惑星「ベスタ」(直径約520km)などを探査しました。
ウルヴァラ・クレーターは、ケレスでも3番目に大きなクレーターです。その直径は170kmほどで、約2億5000万年前に隕石の衝突によって形成されたと考えられています。ドーンによって得られたケレスの高解像度画像や分光観測データを研究チームが分析したところ、ウルヴァラ・クレーター内に塩だけでなく有機物も堆積していることが明らかになりました。
問題の堆積物は、このウルヴァラ・クレーターの中央部にある山脈(長さ約25km、高さ3km)の西側の斜面からみつかりました。塩と有機物が一緒に堆積していることが明らかになったのは、これが初めてだそうです。
研究チームによれば、これらの堆積物は、単に隕石の衝突によってつくられた可能性もあるものの、氷火山の火山活動によってつくられた可能性もあるといいます。ケレスの氷の外殻の下には有機物を含んだ塩水の層が存在する可能性が指摘されていますが、ここから氷火山の火山活動によって表面へと運ばれ、堆積した可能性があるというわけです。
研究チームは、さらに研究を進めることで、謎の解明につとめていきたいとしています。
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Image Credit: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA/MPS, based on data from the Dawn mission: NASA/JPL-Caltech/UCLA/MPS/DLR/IDA The Max Planck Institute for Solar System Research - Dwarf planet Ceres: organic chemistry and salt deposits in Urvara impact crater文/飯銅重幸(はんどうしげゆき)