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NASA小惑星探査機「ルーシー」のカメラはターゲットをどう捉えるのか?

sorae.jp 2022年4月23日 10時57分

【▲ルーシーの機器指向台がオリオン座の近くに向けられたことを示した画像で、T2CAMのフィールドにはバラ星雲が含まれています。赤、青、黄の枠は、それぞれT2CAM、MVIC、L'LORRIの画像のフレームを示しています。(Credit:SwRI; 2008 file photo of night sky as seen over Fajada Butte in New Mexico, courtesy National Parks Service)】

2021年10月16日、NASAの小惑星探査機「ルーシー」(Lucy)が打ち上げられました。目的は「木星トロヤ群」と呼ばれる小惑星グループを間近で観測することです。

旅を始めてから約4ヶ月になる2022年2月14日、搭載された4台の可視光カメラが「較正」画像を撮影しました。較正とは、測定器が物理量を正しく測定するように調整しテストすることです。最初のテスト画像は、打ち上げ直後の2021年11月に撮影されました。

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今回のテストは2021年11月と比べてかなり大規模なものでした。ルーシーは、カメラの性能と感度、および探査機がさまざまな方向に正確に向きを変える能力をテストするため、機器指向台(Instrument Pointing Platform)を使って11の異なるフィールド(星野)に照準を合わせました。

4台のカメラとは、2台の末端追尾カメラ(T2CAM)、マルチカラー可視光カメラ(MVIC)、および長距離偵察カメラ(L'LORRI)のことです。

T2CAMは、11度×8.2度の広い視野を持ち、主にルーシーが接近飛行中に、木星トロヤ群の小惑星を自動的にロックして追跡します。探査機の他の機器がターゲットに向けられるようにするために使用されます。

【▲T2CAMによる画像(10秒間露出)。フレームの中央右下にバラ星雲がわずかに見えます。(Credit: NASA/Goddard/SwRI)】

MVIC は「L'Ralph」 装置の一部で、携帯電話のカメラで撮影したパノラマ写真のように、高さ8.3度の視野を必要に応じた範囲でスキャンできる、高解像度のカラースキャンカメラです。

【▲MVICによるスキャン画像(0.92秒間露出)。冒頭の画像の縦長のフレームが横向きになっています。背景を部分的に差し引いてあるため、微光星が見えます。(Credit: NASA/Goddard/SwRI)】

L'LORRI は、0.29 度四方の狭い視野を持つ、高解像度のモノクロ望遠カメラです。ターゲットの最も詳細な画像を得ることができます。

【▲L'LORRIによる画像(10秒間露出)。写っている最も暗い星は、およそ17等星。暗い星を見やすくするために、画像の明るさを調整してあります。(Credit: NASA/Goddard/SwRI/Johns Hopkins APL)】

今回のテストでは、L'Ralph装置の別の一部でもある赤外線分光器「LEISA」や温度マッピング装置「L'TES」は含まれていません。有用なデータを得るためには、ターゲットである小惑星に接近する必要があるからです。

一連のテストは、ルーシーが持っている何種類もの眼の視力検査を行ったようなイメージになるかもしれませんね。

 

 

Source

Image Credit: SwRI; 2008 file photo of night sky as seen over Fajada Butte in New Mexico, courtesy National Parks Service、NASA/Goddard/SwRI、NASA/Goddard/SwRI/Johns Hopkins APL NASA - Checking in on the Cameras of NASA’s Asteroids-Bound Lucy Spacecraft

文/吉田哲郎

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