こちらは「いて座」の方向約160万光年先にある矮小不規則銀河「NGC 6822」です。NGC 6822は私たちが住む天の川銀河と同じ「局部銀河群(局所銀河群)」に属しています。1884年にアメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナード(Edward Emerson Barnard)によって発見されたことから「Barnard's Galaxy(バーナードの銀河)」とも呼ばれています。
矮小銀河は数十億個以下の恒星からなる小さな銀河で、規模は天の川銀河の100分の1程度。矮小不規則銀河は、矮小銀河のなかでも星やガスが不規則に分布しているものを指します。画像を公開したヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、NGC 6822の幅は天の川銀河(直径約10万光年)の10分の1ほどで、星の数は1000万個程度だといいます。
NGC 6822は天の川銀河よりずっと小規模ではあるものの、画像のあちこちに見える赤い領域は、この銀河で活発な星形成活動が起きていることを示しています。これはHII領域と呼ばれるもので、赤い光は若い星が放射した紫外線によって電離した水素ガスが放っています。NGC 6822にあるHII領域の一部は「ハッブル」宇宙望遠鏡でも観測されています。
冒頭の画像はチリのラ・シヤ天文台にあるMPG/ESO 2.2m望遠鏡で撮影され、2009年10月14日付で公開されたもので、ESOのTwitter公式アカウントが2022年4月19日付で改めて紹介しています。
https://twitter.com/ESO/status/1516189867893571590
関連:ハッブル宇宙望遠鏡が撮影、南天“がか座”の矮小不規則銀河「NGC 1705」
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Image Credit: ESO ESO - The Milky Way's Tiny but Tough Galactic Neighbour NASA/STScI - A Giant Star Factory in Neighboring Galaxy NGC 6822 @ESO (Twitter)文/松村武宏