こちらは観測開始に向けて調整が続けられている新型宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ(James Webb)」が撮影した画像です。アメリカ航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)から4月28日付で公開されました。
画像にはウェッブ宇宙望遠鏡に搭載されている以下4台の観測装置と、望遠鏡の向きを正確に合わせるための「ファインガイダンスセンサー(Fine Guidance Sensor)」で取得された画像が用いられました。画像の並び方とサイズにはウェッブ宇宙望遠鏡の焦点面における各装置の相対的な配置が再現されています。撮影の対象になったのは太陽系から約17万光年先にある「大マゼラン雲」(LMC:Large Magellanic Cloud、大マゼラン銀河とも)の星々です。
・近赤外線カメラ「NIRCam」(波長2μm)
・近赤外線分光器「NIRSpec」(波長1.1μm)
・中間赤外線装置「MIRI」(波長7.7μm)
・近赤外線撮像・スリットレス分光器「NIRISS」(波長1.5μm)
2021年12月25日に打ち上げられたウェッブ宇宙望遠鏡は、太陽と地球のラグランジュ点のひとつ「L2」を周回するような軌道(ハロー軌道)へ2022年1月下旬に到着し、2022年夏からの科学観測開始に向けて光学望遠鏡要素(※)の調整が進められてきました。今回公開された画像はその最終段階で取得されたもので、4つの観測装置すべてが鮮明で焦点の合った画像を取得できることが確認されたといいます。
※…OTE:Optical Telescope Element。主鏡や副鏡などの光学系やそれを支える構造、サブシステムなどを含むウェッブ宇宙望遠鏡の構成要素の一つ
光学望遠鏡要素の調整が完了したことで、ウェッブ宇宙望遠鏡は観測装置を試運転する段階へと進みます。NASAとESAによれば試運転の期間は約2か月間で、その後はいよいよウェッブ宇宙望遠鏡による科学観測が始まるとのことです。
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Image Credit: NASA/STScI NASA - NASA’s Webb In Full Focus, Ready for Instrument Commissioning ESA - Webb in full focus文/松村武宏