画像の左側にある、大きな黒い領域が何か分かりますか?
これは、木星の模様ではなく、木星最大の衛星「ガニメデ」の影です。この画像は、木星探査機「ジュノー」に搭載されている可視光カメラ「JunoCam」が捉えたもので、黒い影が大きく見えることについて、NASAの研究者は「ジュノーが木星フライバイ(近接通過)の際に撮影したものであるため」と述べています。
この様な木星に落ちた衛星の影は、それほど珍しいものではありません。木星には、ガリレオ衛星と呼ばれる「イオ」「エウロパ」「ガニメデ」「カリスト」をはじめとする多くの衛星が存在しているので、投影される機会が多く訪れるからです。この画像の様に、ジュノーは2019年に実施した木星フライバイの際にも「イオの影」を捉えています。
いっぽう、木星に落ちた複数の衛星の影をハッブル宇宙望遠鏡が撮影し、宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)が2015年に公開しています。こちらでは「イオ」「エウロパ」「カリスト」の他に、ガリレオ衛星よりも内側の小さな衛星「アマルテア」「テーベ」の影も確認することができます。
様々な木星の姿を見せてくれるジュノーは、最長で2025年9月まで延長されたミッションの下で探査活動を現在行っています。今後は、2022年9月にエウロパ、2023年12月と2024年2月にはイオにも接近して観測を行う予定となっており、まだ私たちの知らない巨大ガス惑星の一面を見せてくれそうです。
冒頭の画像は、木星探査機ジュノーが2022年2月に実施した40回目の木星フライバイの際に撮影されたもので、そのデータをもとに市民科学者Thomas Thomopoulos氏が色彩を強調するなどの画像処理を施したものです。(2022年4月22日にNASAが「Juno Captures Moon Shadow on Jupiter」として紹介)
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Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS, Image processing: Kevin M. Gill , Brian Swift , Thomas Thomopoulos NASA(1)(2)/ hubblesorae編集部