アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)は5月5日付で、小惑星探査機「Psyche(サイキ)」の打ち上げに向けた最後の準備作業が始まったことを明らかにしました。
サイキは火星と木星の間に広がる小惑星帯を公転する小惑星「プシケ」(16 Psyche、最大幅280km)の探査を目的に開発された探査機です。プシケは鉄やニッケルといった金属を豊富に含む「M型小惑星」に分類されていて、その正体は初期の太陽系で形成された原始惑星のコア(核)ではないかと予想されてきました。サイキはプシケの周回軌道に入り、21か月間に渡って周回探査を行うことが計画されています。
米国カリフォルニア州のJPLで組み立てられたサイキは、空輸に備えてJPLから南東に約90kmほど離れた場所にあるマーチ空軍基地へ運ばれました。C-17輸送機に積み込まれたサイキは、フロリダ州にあるNASAの打ち上げ着陸施設(旧シャトル着陸施設)へ4月29日に到着し、同センターのペイロードハザードサービス施設(Payload Hazardous Servicing Facility:PHSF)へ運搬された後に輸送コンテナから取り出されました。
今後は2022年8月1日に予定されているサイキの打ち上げに向けて、地上テストのために取り外されていた太陽電池アレイの再取り付けや、通信システムのテスト、推進剤の充填、打ち上げに使われるスペースXのロケット「ファルコンヘビー」のフェアリングへの格納作業などが実施されることになります。
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過去に探査機が接近して観測した小惑星や彗星は、主に岩石や氷でできていました。そのため、サイキは金属質の小惑星を間近で観測する初のミッションとなります。
地球のコアを直接調べることはできませんが、原始惑星のコアだった可能性があるプシケの観測を通して、地球のような惑星の形成についての貴重な情報が得られると期待されています。予定通りに打ち上げられれば、サイキは2026年にプシケへ到着する予定です。
※本稿では探査機およびミッションの名称に「Psyche」の英語での読み方を用いています。
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Image Credit: NASA/Isaac Watson, NASA/Kim Shiflett, NASA/JPL-Caltech/ASU NASA/JPL - NASA’s Psyche Starts Processing at Kennedy文/松村武宏