こちらは「いて座」の方向約2万3000光年先にある球状星団「NGC 6558」です。球状星団とは、数万~数百万個の恒星が互いの重力に引き寄せられて密集している天体のこと。数え切れない星々が青、赤、白と様々な色で輝く宝石箱のようなその様子は、渦巻く銀河とはまた違った美しさを感じさせます。
天文学者にとって、美しき球状星団には別の魅力があります。画像を公開した欧州宇宙機関(ESA)によれば、球状星団を構成する様々な星々はほぼ同時期に形成されたものであり、誕生当時の化学組成はどれもみな同じだったと考えられています。同じ条件下で形成された異なる星々がどのように進化していくのかを調べ、理論を検証する上で、球状星団は天然の実験室として助けになるのだといいます。
冒頭の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡に搭載されている「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」使って取得された画像(可視光線と近赤外線のフィルターを使用)をもとに作成されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡の今週の一枚として2022年5月16日付で公開されています。ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡は天の川銀河の内側にある球状星団を調査する研究の一環として、NGC 6558の観測を実施したとのことです。
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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Cohen ESA/Hubble - Hubble Spies a Glittering Gathering of Stars文/松村武宏