ブラックホールは、この宇宙で最も速いとされる「光」でさえも脱出できないほど重力が強い天体です。光では観測することができない”黒い穴”の周囲には、影響を受けた物質や捻じ曲げられた光など、不思議な形を描きます。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センターは、これまでに紹介したブラックホールのイメージ画像や観測画像(全5枚)を壁紙としてダウンロードできるように、2022年5月4日付けで公開しました。
今回は、壁紙として公開されたブラックホール画像を紹介していきます。
連星ブラックホールの合体シミュレーションこの画像は、2つのブラックホールが合体に近づく様子をシミュレーションした動画の一部です。
連星ブラックホールとは、ブラックホールとブラックホールから成る連星系です。宇宙の数多くの銀河には、ブラックホールが潜んでいると指摘されていますが、この様な連星ブラックホールは、合体銀河や多重星系の中心で発生すると考えられ、多くは見つかっていません。
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歪んだ連星ブラックホール連星ブラックホールが重なって見える位置関係になると…?
こちらの画像も、NASAによる連星ブラックホールのシミュレーション動画の一部です。それぞれのブラックホールを区別するため、降着円盤を青色とオレンジ色に分けて着色しています。青色は太陽の1億倍、オレンジ色は太陽の2億倍の重さとして設定されています。
手前のブラックホールの重力によって、奥のブラックホールの降着円盤から放射された光の進む向きが曲げられ、歪んだ姿に見えるのです。
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ブラックホールの降着円盤とコロナこちらは「へびつかい座」の方向およそ約1万光年先にあるX線源「MAXI J1820+070」の想像図です。MAXI J1820+070は、主星である恒星質量ブラックホールと伴星(太陽の半分ほどの重さの恒星)から成る連星と考えられています。
この画像では、伴星からブラックホールへガスが流れ、降着円盤を形成する様子や、高温プラズマのコロナ(ブラックホールコロナ)を描いています。
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天の川銀河の中心部分を多波長で私達の住む天の川銀河の中心領域には、太陽質量の約400万倍のブラックホール「いて座A*(エースター)」が存在しています。その周囲には、アーク構造や、多数のフィラメント状の糸など、興味深い構造をしていますが、それらはあまりよくわかっていないものばかりです。
この画像は、南アフリカにある64台の電波望遠鏡「MeerKAT」のデータとチャンドラX線天文衛星のデータを合わせた天の川銀河中心部です。
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ブラックホールジェットこの中心の天体は「ヘルクレス座A(Hercules A)」と呼ばれる約20億光年先の楕円銀河です。左右に伸びるダイナミックなジェットは、銀河の中心にあるとされる太陽の40億倍の重さの超大質量ブラックホールが放っていると考えられています。
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した銀河に、可視光では見ることのできない電波撮影のデータを合成したものです。
皆さんはどのブラックホールが印象的だったでしょうか。これらの画像は、パソコン用(1920x1080)とスマートフォン用(1080x1920)が公開されており、ファイルサイズは1枚につき2〜3MB程度となっています。
ブラックホール壁紙のダウンロード先:https://svs.gsfc.nasa.gov/14146
Source
NASA - Black Hole Desktop & Phone Wallpaperssorae編集部