ロケットラボは、現地時間6月28日、同社の「エレクトロン」ロケットの打ち上げに成功しました。ロケットには、NASAの小型衛星「CAPSTONE」が搭載されました。CAPSTONEは、月周回有人拠点「ゲートウェイ」が周回する予定の月長楕円極軌道(NRHO:Near Rectilinear Halo Orbit)へ初めて投入されます。NASAが主導する有人月探査計画「アルテミス計画」の初ミッションとして実施されるこの衛星の打ち上げは、人類が月へ再び着陸するための「前進」となりました。
CAPSTONEを搭載したエレクトロンロケットは、ニュージーランド標準時2022年6月28日21時55分、ニュージーランド・マヒア半島にあるロケットラボが所有する打ち上げ場から発射されました。打ち上げから9分後、エレクトロンロケットの第2段部分は、衛星を搭載している小型衛星プラットフォーム「Photon」(フォトン)の分離に成功し、高度165kmの初期軌道へ投入されました。
フォトンは、衛星を予定の軌道へ投入するためのキックステージと、衛星のバス機能(人工衛星として必要な基本的な機器)を統合した小型の宇宙機です。CAPSTONEを載せたフォトンは「HyperCurie」(ハイパーキュリー)エンジンを使った軌道修正を定期的に実施し、5日間かけて加速していきます。打ち上げから6日後、最後の噴射を行った後に時速3万9500kmで地球の軌道を脱出し、月の周回軌道へ向かいます。最後の燃焼から約20分後にフォトンは、CAPSTONEを分離します。
ロケットラボによると、ニュージーランド標準時2022年7月4日19時18分に、フォトンはCAPSTONEの分離に成功。月へ向かう軌道に投入することに成功したということです。CAPSTONEは自身が持つ燃料を使い、月へ航行を続けます。そして、2022年11月13日ごろに月長楕円極軌道へ到着する予定となっています。
CAPSTONEは、12Uサイズ・重量25kgの小型衛星です。月周回有人拠点「ゲートウェイ」が周回する月長楕円極軌道に世界で初めて投入されます。月長楕円極軌道は非常に細長い楕円形をしており、高度4000kmの近月点、高度75000kmの遠月点となる軌道になります。同衛星は、月長楕円極軌道に投入した際の推進、通信分野などの機能を実験実証し、この軌道の特性を理解することが目的です。ロケットラボによると、少なくとも約6か月間軌道を周回し、調査を実施するということです。
ロケットラボにとって、このミッションは27回目のエレクトロンロケットの打ち上げとなり、同社にとって初めての深宇宙探査ミッションとなりました。またフォトンの中でも、月へ行くために開発されたフォトンの利用は今回が初となります。同社はこれまでに2回、地球低軌道で使用されるフォトンを用いてきました。
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Image credit: Rocket Lab, NASA/Daniel Rutter Rocket Lab - CAPSTONE Rocket Lab - CAPSTONE Press kit Rocket Lab - Mission To The Moon Rocket Lab - Rocket Lab Successfully Launches CAPSTONE Spacecraft, Completes First Leg of Moon Mission for NASA Rocket Lab - Rocket Lab Moon Mission for NASA a Success Space News - Rocket Lab sees payoff from CAPSTONE launch文/出口隼詩