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通信再確立! 月に向かうNASA超小型衛星「CAPSTONE」最初の軌道修正操作を実施

sorae.jp 2022年7月10日 11時23分

【▲ 月を周回する「CAPSTONE」の想像図(Credit: Illustration by NASA/Daniel Rutter)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)は7月6日付で、超小型衛星「CAPSTONE」との通信が再確立されたことを明らかにしました。CAPSTONEとの通信は一時途絶していましたが、再び通信できるようになったことで、延期されていた1回目の軌道修正操作も無事実施されています。

CAPSTONEは全長61cm・重量25kgと比較的小さな衛星(CubeSat規格の12Uサイズ、電子レンジくらいの大きさ)です。NASAが建設を計画している月周回有人拠点「ゲートウェイ」が飛行する予定の月長楕円極軌道(NRHO:Near Rectilinear Halo Orbit)での6か月間にわたる運用テストを目的とした、有人月面探査計画「アルテミス」の先導役と言えるミッションのために打ち上げられました。製造と運用は米国のアドバンスド・スペース(Advanced Space)社が担当しています。

6月28日にロケットラボの「エレクトロン」ロケットで打ち上げられたCAPSTONEは、同社の小型宇宙機「フォトン」によって7月4日に月へ向かう軌道へと入り、日本時間2022年7月4日16時18分にフォトンから切り離されました。しかし、単独飛行の開始後に通信システムで問題が発生し、NASAの深宇宙通信網「ディープスペースネットワーク」(DSN:Deep Space Network)の地上局と通信ができない状態になっていました。

CAPSTONEとの通信は日本時間2022年7月6日22時26分に再確立されました。CAPSTONEは途絶えるまでに交わされた地上局との通信をもとに予想された通りの位置にあり、運用チームは同日23時18分からテレメトリデータの受信を開始。機体の状態が確認された後の7月8日0時30分には、通信の問題発生を受けて延期されていた1回目の軌道修正操作「TCM-1」(TCMはTrajectory Correction Maneuverの略)が開始され、11分間のスラスター噴射に成功しました。

NASAやアドバンスド・スペースによると、今回の通信途絶は、無線機を動作不能にする不適切な形式のコマンドがCAPSTONEに向けて送信されたことがきっかけになったようです。無線機はCAPSTONEのシステムによって再起動されるはずだったものの、ソフトウェアの障害のために再起動されなかったといいます。障害はCAPSTONEの自律飛行システムによって最終的に解消され、地上との通信が再確立されるに至りました。通信が途絶していた間もCAPSTONEのシステムはアンテナを地球に向け続け、太陽電池でバッテリーを充電できるように機体の姿勢を制御していたとのことです。

なお、CAPSTONEは4か月後の2022年11月13日に月長楕円極軌道へ入る予定で、それまでに一連の軌道修正操作が予定されています。2回目の軌道修正操作「TCM-2」は、日本時間2022年7月10日0時30分に予定されています。

 

関連:NASA超小型衛星「CAPSTONE」通信に問題発生 最初の軌道修正操作を延期

Source

Image Credit: NASA/Daniel Rutter NASA - NASA’s CAPSTONE Pulls Off First Targeting Maneuver on Journey to the Moon NASA - Mission Team Determines Cause of Communications Issues for NASA’s CAPSTONE Advanced Space - CAPSTONE Trajectory Correction Maneuver a Success Advanced Space - CAPSTONE Mission: 06 July 2022 Update DSN Now

文/松村武宏

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