中心部に紫色のもや(靄)をかかえた珍しい銀河。冒頭の画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の今週の一枚として2022年5月2日付けで、ズバリ「Purple haze(パープルヘイズ:紫色のもや)」のタイトルで紹介されました。
この銀河は、しし座の方角、約3100万光年の距離にある「NGC 3627」で、一般的には「M66」として知られています。M66(NGC 3627)は、M65(NGC 3623)とNGC 3628を加えて「しし座の三つ子銀河」の名でも親しまれています。
この画像は、南米チリにあるESOの超大型望遠鏡(VLT)に搭載された広視野面分光観測装置「MUSE」を用いて捉えられました。珍しい色合いは、異なる波長の光を組み合わせて観測したことによるもので、特徴を分かりやすく色付けした疑似カラーの画像となっています。
ESOの研究者によると、この画像は、従来の画像のように銀河の中にある星が見えるものではなく、生まれたばかりの星によってイオン化されたガスが見ているとのこと。水素、酸素、硫黄がそれぞれ赤、青、オレンジで表示されているということです。
なお、この画像は「PHANGS(Physics at High Angular Resolution in Nearby GalaxieS:近傍銀河の高角度分解能物理学)」プロジェクトの一環として取得されました。このプロジェクトの目的は、さまざまな環境下で新しい星が生まれる際に、その引き金、促進、阻害するものをより深く理解することにある、とESOは述べています。
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Image Credit: ESO / PHANGS ESO - Purple haze文/吉田哲郎
※一部文章を再編集しました(7月14日)