アメリカ航空宇宙局は8月30日、エンジンに問題が発生したため中止・延期されていた「アルテミス1」ミッションの打ち上げについて、目標日時が再設定されたことを発表しました。新たな打ち上げウィンドウは、米国東部夏時間2022年9月3日14時17分(日本時間9月4日3時17分)から2時間です。
アルテミス1は、NASAが開発した新型ロケット「SLS(スペース・ローンチ・システム)」および新型有人宇宙船「Orion(オリオン、オライオン)」の無人飛行試験にあたるミッションです。SLS初号機で打ち上げられたオリオンは月周辺を飛行した後、打ち上げから4~6週間ほど後に地球へ帰還する予定です。なお、SLS初号機には日本の「OMOTENASHI」と「EQUULEUS」など10機の小型探査機も相乗りしています。
当初、SLS初号機は米国東部夏時間2022年8月29日8時33分(日本時間同日21時33分)から2時間のウィンドウ内に打ち上げられる予定でした。しかし、SLSのコアステージ(第1段)に4基搭載されている液体燃料ロケットエンジン「RS-25」のうち、第3エンジンを目標の温度まで冷却できない問題が発生したため、同日の打ち上げは中止されていました。
NASAによると、RS-25は極低温の推進剤(液体水素と液体酸素)を流し込んで点火する前に、液体水素の一部を使って温度を華氏マイナス420度(摂氏約マイナス215度)まで事前に冷却しておく「ブリード(bleed)」とも呼ばれる温度調整作業を行う必要がありますが、第3エンジンの温度は他の3つのエンジンよりも高いままだったといいます。NASAは新たな打ち上げ予定日までに推進剤の充填手順を修正して、コアステージへの液体水素充填中にエンジンの冷却テストを実施する予定です。
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Image Credit: NASA/Joel Kowsky NASA - Artemis (NASA Blogs)文/松村武宏