アメリカ東部夏時間10月1日、有人宇宙飛行ミッション「Crew-5」で国際宇宙ステーション(ISS)に向かう宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士ら4名が、米国フロリダ州のケネディ宇宙センターに到着しました。4名が搭乗するスペースXの有人宇宙船クルードラゴン「エンデュランス」は、日本時間2022年10月6日1時ちょうど(東部夏時間10月5日正午)にケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられる予定です。
Crew-5では若田飛行士をはじめ、アメリカ航空宇宙局(NASA)のニコール・マン(Nicole Mann)宇宙飛行士とジョシュ・カサダ(Josh Kassada)宇宙飛行士、ロシアの国営宇宙企業ロスコスモス(Roscosmos)のアンナ・キキナ(Anna Kikina)宇宙飛行士の合計4名がエンデュランスに搭乗し、ISSに向かいます。
今日は打上げのリハーサルがあり、宇宙服を着用し、ケネディ宇宙センター内にある宇宙飛行士宿舎から39A射点に移動してクルードラゴン宇宙船に乗り込み、通信システムの作動確認や宇宙服の気密性確認などを行いました。打上げに向けた準備は順調です。 https://t.co/JsslhpLzKI
— 若田光一 WAKATA Koichi (@Astro_Wakata) October 2, 2022当初、Crew-5の打ち上げは日本時間2022年10月4日に予定されていましたが、ハリケーン「イアン(Ian)」の接近・上陸にともなって延期されていました。現在は6日の打ち上げに向けて準備が進められており、Twitterでは若田飛行士が打ち上げ前の日々の様子をツイートしています。
若田飛行士がISSに滞在するのは2013年11月~2014年5月の第38次/第39次長期滞在に次ぐ2回目で、今回は1996年1月のSTS-72ミッションから数えて5回目の宇宙飛行です。マン飛行士、カサダ飛行士、キキナ飛行士の3名は今回が初の宇宙飛行であり、Crew-5で宇宙飛行経験があるのは若田飛行士のみとなります。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、宇宙分野でも欧米とロシアの協力関係に影響が及んでいますが、キキナ飛行士は米ロの間で結ばれた新たなクルー交換協定のもとでCrew-5の一員となり、今回の打ち上げを迎えました。この協定ではNASAのフランク・ルビオ(Frank Rubio)宇宙飛行士がソユーズ宇宙船「MS-22」のクルーに加わっていて、9月22日からISSに滞在しています。
関連:ロシアの有人宇宙船「ソユーズMS-22」打ち上げ 約3時間でISSへ到着
またNASAによれば、Crew-5のコマンダーを務めるマン飛行士は、初めて宇宙に行くネイティブ・アメリカンとして今回のミッションに臨んでいます。ケネディ宇宙センター到着時のセレモニーでマン飛行士は「ネイティブ・アメリカンと私の一族を代表することを、とても誇りに思います」「さまざまな背景を持つ世界中の幼い子どもたちや、大人たちにもインスピレーションを与えられればと願っています」と語っています。
JAXAによると、若田飛行士の滞在中には静電浮遊炉(ELF)を利用した高融点材料の熱物性測定や、超小型衛星の放出などがISSの日本実験棟「きぼう」で実施される予定です。Crew-5の4名が到着した後は、2022年4月から約6か月間滞在してきた「Crew-4」ミッションの4名がクルードラゴン「フリーダム」に搭乗してISSを離れ、地球へ帰還する予定です。
関連:若田光一宇宙飛行士が乗る「クルードラゴン」打ち上げは10月6日以降に ハリケーン接近の影響
Source
Image Credit: NASA/Joel Kowsky NASA - Flight Crew Settling in at Kennedy, Making Final Preparations for NASA’s SpaceX Crew-5 Mission文/松村武宏