持続化給付金の支給を受けるためには、副業などの雑所得は対象にならず、かつ2019年度の確定申告書の控えが必要とされています。このため、雑所得を事業所得として再申告すれば申請が認められる、という全国紙の記事があることを前回の記事で紹介しました。
■そもそも再申告は原則認められていない
しかし、少し専門的な話をしますが、税法的にはそもそも再申告は原則として認められないとされています。申告で税額が確定しますので、いったん申告したものを任意に変えるとなると、納税の手続きなどが混乱してしまうからです。このため、申告した税額が少ないため追加で納付する場合の申告(修正申告)や申告した税額が多すぎるため還付を請求する手続き(更正の請求)を除き、自分がした申告を変えることは原則としてできません。
このため、雑所得でした申告を事業所得に変えた結果、税額が動くのであれば再申告のようなものは可能ですが、税額が変わらなければ再申告はできないとされる可能性が非常に大きいのです。
■事業概況説明書の取扱い
その他、申告以外にも、税務署に再提出するべきと噂される資料がありますので紹介します。事業概況説明書と言われる書類です。
事業概況説明書は法人が税務署に申告書とともに提出しなければならないとされている資料であり、法人の事業の概況を書くように指導されています。その記載事項の一つに、法人の各月の売上高などがあります。
持続化給付金の要件として、「ひと月の事業収入が前年同月比で50%以上減少していること」がありますから、その要件を満たしているかを確認するため、この事業概況説明書の控えについても、税務署の収受印が付されたものを、経済産業省に提出するよう求められています。
■事業概況説明書の記載事項は国税が任意に決めたもの
しかし、この事業概況説明書は、記載すべき事項をざっくりと書いている税理士も多くいます。なぜなら、事業概況説明書は申告書に添付義務はありますが、その記載事項については法律で決まっておらず、税務署が任意に決めているからです。法律ではなく任意なので、書いていなくとも問題にはなりませんし、税務署も文句を言いません。
となると、各月の売上高が分からないケースもありますので、書いていない場合には、税務署に再提出すべきと言われます。しかし、義務もないものを書いて税務署に提出する必要もありませんから、このような場合には、元帳など各月の売上が分かる資料で代用してもらうよう交渉するなどの対応を考えましょう。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
■そもそも再申告は原則認められていない
しかし、少し専門的な話をしますが、税法的にはそもそも再申告は原則として認められないとされています。申告で税額が確定しますので、いったん申告したものを任意に変えるとなると、納税の手続きなどが混乱してしまうからです。このため、申告した税額が少ないため追加で納付する場合の申告(修正申告)や申告した税額が多すぎるため還付を請求する手続き(更正の請求)を除き、自分がした申告を変えることは原則としてできません。
このため、雑所得でした申告を事業所得に変えた結果、税額が動くのであれば再申告のようなものは可能ですが、税額が変わらなければ再申告はできないとされる可能性が非常に大きいのです。
■事業概況説明書の取扱い
その他、申告以外にも、税務署に再提出するべきと噂される資料がありますので紹介します。事業概況説明書と言われる書類です。
事業概況説明書は法人が税務署に申告書とともに提出しなければならないとされている資料であり、法人の事業の概況を書くように指導されています。その記載事項の一つに、法人の各月の売上高などがあります。
持続化給付金の要件として、「ひと月の事業収入が前年同月比で50%以上減少していること」がありますから、その要件を満たしているかを確認するため、この事業概況説明書の控えについても、税務署の収受印が付されたものを、経済産業省に提出するよう求められています。
■事業概況説明書の記載事項は国税が任意に決めたもの
しかし、この事業概況説明書は、記載すべき事項をざっくりと書いている税理士も多くいます。なぜなら、事業概況説明書は申告書に添付義務はありますが、その記載事項については法律で決まっておらず、税務署が任意に決めているからです。法律ではなく任意なので、書いていなくとも問題にはなりませんし、税務署も文句を言いません。
となると、各月の売上高が分からないケースもありますので、書いていない場合には、税務署に再提出すべきと言われます。しかし、義務もないものを書いて税務署に提出する必要もありませんから、このような場合には、元帳など各月の売上が分かる資料で代用してもらうよう交渉するなどの対応を考えましょう。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。