所得税において、住宅が絡む優遇措置として、大変効果があると言われているのが住宅ローン控除と居住用財産の特例です。住宅ローン控除は、新しい住居をローンで購入したような場合に認められる特別減税で、居住用財産の特例は、居住していた住居を売却した場合、譲渡所得から最大3千万円控除できるなど、居住用財産を売る際に認められる特別措置です。
これらの特例は、それぞれ高い効果がある住宅に関連する税制ですので、両方を二重に使うことは原則できないとされています。
■空白の一年
しかし、この二重適用の制限には、空白の1年がありました。二重適用の制限等について、具体的には以下とされています。
(1) 住宅ローン控除
新しい住宅に住んだ日から2年を経過する年の末日までに居住用財産の特例を適用した時は、過去に遡って住宅ローン控除が認められないという制限が設けられています。
なお、適用してしまった場合には、過去の申告の修正が必要になります。
(2) 居住用財産の特例
古い住宅に住まなくなってから3年を経過する日の末日までは、居住用財産の特例が適用できるとされています。
ご覧いただくと分かります通り、住宅ローン控除を受けた場合の、居住用財産の特例の制限は2年目の年末までであるにもかかわらず、居住用財産の特例は、古い家に住まなくなってから3年目の年末まで使えますので、住まなくなった古い家をこの3年目の年内に売ることで、住宅ローン控除と居住用財産の特例のダブル適用という節税が可能になるのです
実際のところ、このダブル適用はかなり流行っていた節税で、税務署をチェックする会計検査院も問題がある節税と指摘していました。
■令和2年度改正で封じ込め
このため、令和2年度改正では、新しい住宅に住んだ日から3年を経過する年の末日まで、住宅ローン控除と居住用財産の特例の二重適用の制限が延長されることとなりました。この改正は、古い家を令和2年4月1日以後に譲渡した場合に適用されます。
となれば、令和2年3月中に、古い家を譲渡すれば、この制限はかからないことになります。仮に、現状上記の空白の1年に該当している方がいましたら、早期の適用を考えた方がいいかもしれません。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
これらの特例は、それぞれ高い効果がある住宅に関連する税制ですので、両方を二重に使うことは原則できないとされています。
■空白の一年
しかし、この二重適用の制限には、空白の1年がありました。二重適用の制限等について、具体的には以下とされています。
(1) 住宅ローン控除
新しい住宅に住んだ日から2年を経過する年の末日までに居住用財産の特例を適用した時は、過去に遡って住宅ローン控除が認められないという制限が設けられています。
なお、適用してしまった場合には、過去の申告の修正が必要になります。
(2) 居住用財産の特例
古い住宅に住まなくなってから3年を経過する日の末日までは、居住用財産の特例が適用できるとされています。
ご覧いただくと分かります通り、住宅ローン控除を受けた場合の、居住用財産の特例の制限は2年目の年末までであるにもかかわらず、居住用財産の特例は、古い家に住まなくなってから3年目の年末まで使えますので、住まなくなった古い家をこの3年目の年内に売ることで、住宅ローン控除と居住用財産の特例のダブル適用という節税が可能になるのです
実際のところ、このダブル適用はかなり流行っていた節税で、税務署をチェックする会計検査院も問題がある節税と指摘していました。
■令和2年度改正で封じ込め
このため、令和2年度改正では、新しい住宅に住んだ日から3年を経過する年の末日まで、住宅ローン控除と居住用財産の特例の二重適用の制限が延長されることとなりました。この改正は、古い家を令和2年4月1日以後に譲渡した場合に適用されます。
となれば、令和2年3月中に、古い家を譲渡すれば、この制限はかからないことになります。仮に、現状上記の空白の1年に該当している方がいましたら、早期の適用を考えた方がいいかもしれません。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。