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贈与税の課税のタイミングは引渡時期とは異なる?課税時期と評価の関係は?

相談LINE 2020年9月15日 19時0分

贈与を受けた場合に課税される贈与税については、贈与を受けた年分の贈与税として申告する必要があります。ここで問題になるのは、贈与を受けた日、専門的には贈与税の課税時期です。この課税時期について、通達は以下のように定めています。

■贈与税の課税のタイミング

(1) 口頭による贈与の場合 贈与の履行があった時
(2) 書面による贈与の場合 贈与契約の効力が発生した時
(3) 停止条件付贈与の場合 その条件が成就した時
(4) 農地等の贈与の場合 農地法の規定による許可又は届出の効力が生じた時

■引渡し時期とは異なる

ご覧いただきますと分かります通り、基本的には贈与契約の効力が発生した時が贈与税の課税時期となります。もちろん、書面(契約書)を作っていなければ、契約の効力発生日が分かりませんので、実際にものを引き渡す贈与の履行時が贈与税の課税時期となります。

このような違いが生じるのは、民法上、贈与を「書面による贈与」と「書面によらない贈与」に区分された上、異なる取扱いとされているからです。具体的には、前者は書面が存在する以上、その贈与を撤回することができないこととされています。一方で、後者の「書面によらない贈与」は、原則的にいつでも撤回することができるものの、履行が終わった部分については撤回できないとされています。

撤回できない書面による贈与であれば、契約発生日に贈与が確定しますし、履行が終わった部分が撤回できない書面によらない贈与であれば、履行した部分について贈与が確定することになります。このため、このような取扱いとなっています。

なお、実務上は贈与契約書を作ることが多いと思いますので、その契約日付が原則として課税時期とされます。

■課税時期と評価

ところで、課税時期は贈与税の課税のタイミングだけでなく、贈与を受けた財産の評価についても重要になります。贈与税の計算上必要になる財産の評価は、原則として課税時期の現況で行うこととされています。

非上場株式の株価の評価は、その基礎となる業種目別株価などが年によって異なるため、課税時期を正確に判断しないと誤った評価をしてしまいますので注意が必要です。

■法人税等とは異なる

これに関連して、法人税や所得税は、契約の効力発生日ではなく、実際に商品などを引き渡したタイミングで収益を認識します。これらの税金の収益計上日と贈与税の課税時期は異なっていますので、注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。



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