税務上、生活に必要な動産を譲渡しても、譲渡所得税は非課税とされています。ここでいう生活に必要な動産とは、家具や衣服、そして30万円以下の書画などをいうこととされています。生活に必要な動産は、それを売って利益を得ることを目的に購入するのではなく、最低限生活するのに必要であるために購入するもので、そもそも仮に売却しても利益が出ることもほとんどないことなどの理由により、税金を課税しないこととしているのです。
なお、生活に必要な動産の譲渡所得は非課税とされることとの関係上、仮に生活に必要な動産を売って譲渡損が生じたとしても、給与など他の所得と相殺することはできず、切捨てとなります。
■通勤用の自動車も該当する
この点、過去の裁判例で、通勤用の自動車がこの生活に必要な動産に当たるかが問題になりました。この裁判では、第一審と第二審で判断が分かれており、第二審で生活に必要でない資産と判断されました。しかし、現状の取扱いとしては、通勤用の自動車は原則として生活に必要な動産とされており、この点は国税庁ホームページにおいても明記されています。
■フェラーリの取扱い
ところで、この規定の適用上問題になることの一つにフェラーリの譲渡が挙げられます。一般的に、趣味や観賞用で保有することが多いフェラーリですが、中には通勤で使う方もいらっしゃると思います。
この点、一般的にフェラーリはやはり生活における移動手段ではない場合が多いと言えること、値段的に生活に必要な動産とは言い難いため、生活に必要な動産ではないという見解が通説です。
この点、限定車のフェラーリですが、先日の裁決では原則として生活用動産には当たらず、その譲渡所得は課税されるとした事例がありました。従来、上記のような通説はあったものの、審判所という公的の場で課税されるとした事例であり、今後はなお一層注意が必要と言えます。
■譲渡損はどうなる
その他、フェラーリの譲渡について押さえておきたいのは、フェラーリのような「主として趣味,娯楽,保養又は鑑賞の目的で所有する資産」は「生活に通常必要でない資産」に当たり、その譲渡により譲渡損が生じても、給与などと相殺することが出来ないとされています。このため、こと税金だけを考えると、法人は別にして個人でフェラーリを持つのはかなり不利になるといえそうです。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
なお、生活に必要な動産の譲渡所得は非課税とされることとの関係上、仮に生活に必要な動産を売って譲渡損が生じたとしても、給与など他の所得と相殺することはできず、切捨てとなります。
■通勤用の自動車も該当する
この点、過去の裁判例で、通勤用の自動車がこの生活に必要な動産に当たるかが問題になりました。この裁判では、第一審と第二審で判断が分かれており、第二審で生活に必要でない資産と判断されました。しかし、現状の取扱いとしては、通勤用の自動車は原則として生活に必要な動産とされており、この点は国税庁ホームページにおいても明記されています。
■フェラーリの取扱い
ところで、この規定の適用上問題になることの一つにフェラーリの譲渡が挙げられます。一般的に、趣味や観賞用で保有することが多いフェラーリですが、中には通勤で使う方もいらっしゃると思います。
この点、一般的にフェラーリはやはり生活における移動手段ではない場合が多いと言えること、値段的に生活に必要な動産とは言い難いため、生活に必要な動産ではないという見解が通説です。
この点、限定車のフェラーリですが、先日の裁決では原則として生活用動産には当たらず、その譲渡所得は課税されるとした事例がありました。従来、上記のような通説はあったものの、審判所という公的の場で課税されるとした事例であり、今後はなお一層注意が必要と言えます。
■譲渡損はどうなる
その他、フェラーリの譲渡について押さえておきたいのは、フェラーリのような「主として趣味,娯楽,保養又は鑑賞の目的で所有する資産」は「生活に通常必要でない資産」に当たり、その譲渡により譲渡損が生じても、給与などと相殺することが出来ないとされています。このため、こと税金だけを考えると、法人は別にして個人でフェラーリを持つのはかなり不利になるといえそうです。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。