新入社員の歓迎会や、退職する社員の送迎会を会社で行う費用は、当然のことながら会社の経費になります。このような経費はいわゆる福利厚生費であり、福利厚生費は原則として以下の要件に該当する限り、経費になります。
■福利厚生費として認められるための要件
1 全従業員を対象にしていること
2 金銭で支給するものではないこと
3 社会通念という常識から見て、高額すぎるものでないこと
この取扱いは常識なのですが、現在新型コロナウイルスの関係で、歓送迎会がオンラインになっていますので、福利厚生費とできるのか疑義があるようです。
■権威ある税務雑誌の見解
この点、国税庁の見解は出ていませんが、権威ある税務雑誌の解説によると、オンラインで歓送迎会を実施したとしても、原則として福利厚生費で問題ないと解説されていました。ただし、オンラインでやるため参加者がそれぞれお酒やつまみを購入することになりますから、領収書を貰って会社に精算を依頼するとともに、上記3に従って、常識の範囲内で酒やつまみを購入する必要があるということです。
とは言え、あまりに高額な費用なら、役員は別にして従業員なら会社は経費として認めないでしょうから、この点役員の費用だけ注意すれば問題ないと考えられます。このため、きちんと領収書を保存して会社で経費精算するよう、指導しておくことが重要になります。
■少し違うだけで問題になるのが税務
ところで、上記の懇親会費の取扱いは、オンラインか対面かの違いだけで、常識としては大きな違いではありません。しかし、このような少しの違いで取扱いが大きく変わる場合があるのが税務です。このため、国税庁がどう考えているか、その見解が重要になる訳ですが、国税庁は縦割り組織であることもあり、中々見解を出しません。
このため、一般の納税者としては、税理士に相談したいと思うものですが、税理士に聞いても明確な見解を貰えることは多くありません。というのも、税理士は法律を基本読みませんし、仮に読んだとしても、税理士の責任問題に発展するため、保守的な回答をする傾向があるからです。
■最終的には
このような事情がありますので、取扱いが明確でないものは、最終的には税務調査で決まります。税務調査はテクニックの世界ですから、このようなテクニックに長けた税理士のサポートを受けることで、不明確な税の取扱いに対するリスクヘッジができると考えられます。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
■福利厚生費として認められるための要件
1 全従業員を対象にしていること
2 金銭で支給するものではないこと
3 社会通念という常識から見て、高額すぎるものでないこと
この取扱いは常識なのですが、現在新型コロナウイルスの関係で、歓送迎会がオンラインになっていますので、福利厚生費とできるのか疑義があるようです。
■権威ある税務雑誌の見解
この点、国税庁の見解は出ていませんが、権威ある税務雑誌の解説によると、オンラインで歓送迎会を実施したとしても、原則として福利厚生費で問題ないと解説されていました。ただし、オンラインでやるため参加者がそれぞれお酒やつまみを購入することになりますから、領収書を貰って会社に精算を依頼するとともに、上記3に従って、常識の範囲内で酒やつまみを購入する必要があるということです。
とは言え、あまりに高額な費用なら、役員は別にして従業員なら会社は経費として認めないでしょうから、この点役員の費用だけ注意すれば問題ないと考えられます。このため、きちんと領収書を保存して会社で経費精算するよう、指導しておくことが重要になります。
■少し違うだけで問題になるのが税務
ところで、上記の懇親会費の取扱いは、オンラインか対面かの違いだけで、常識としては大きな違いではありません。しかし、このような少しの違いで取扱いが大きく変わる場合があるのが税務です。このため、国税庁がどう考えているか、その見解が重要になる訳ですが、国税庁は縦割り組織であることもあり、中々見解を出しません。
このため、一般の納税者としては、税理士に相談したいと思うものですが、税理士に聞いても明確な見解を貰えることは多くありません。というのも、税理士は法律を基本読みませんし、仮に読んだとしても、税理士の責任問題に発展するため、保守的な回答をする傾向があるからです。
■最終的には
このような事情がありますので、取扱いが明確でないものは、最終的には税務調査で決まります。税務調査はテクニックの世界ですから、このようなテクニックに長けた税理士のサポートを受けることで、不明確な税の取扱いに対するリスクヘッジができると考えられます。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。