前回、国外転出時課税について解説しましたが、その際この課税の対象になる対象資産について、以下であると解説しました。
・ 株式、投資信託、匿名組合出資などの有価証券
・ 未決済の信用取引など
・ 未決済のデリバティブ取引など
ご覧いただくと分かりますが、ここに暗号資産は上がっていません。このため、国税から明確な見解が出ている訳ではありませんが、暗号資産は国外転出時課税の対象にならないと言われています。近年、暗号資産取引は非常に増えており、含み益も多額になっていますが、少なくとも国外転出時課税の対象にはならないと考えられています。
■暗号資産の課税関係
暗号資産の課税関係について整理しますと、それを国内に住所を有する個人(居住者)が取引した場合、その所得に対し、総合課税の雑所得として課税されることになります。総合課税となると、個人住民税を合わせれば最大で55%の税金が課税されることになります。暗号資産の含み益は膨大であることが多いですが、これだけの税金が課税されるとなると、非常に大きな負担となります。
とりわけ、暗号資産の取引は、それを売って現金に換えた場合だけでなく、ビットコインから他の仮想通貨に両替するような場合など、暗号資産の種類が変わった場合にも、その変わったタイミングの時価で暗号資産を売ったとして、課税対象になります。現金に換えていないのに税金の対象になり、かつ暗号資産の値動きは非常に大きいため、納税しなければならないタイミングで大きく値下がりするため納税に困る、といった事態にも陥ることになります。
■国外転出をうまく使うと
このような事情があることから、暗号資産の税制は非常に酷と言われます。このため、その節税策として言われることの一つに、日本から国外転出して非居住者になることが挙げられています。
先の通り、暗号資産は国外転出時課税の対象にならないと言われます。同様に、非居住者が海外で暗号資産を売った場合にも、日本では課税対象にならないという見解があります。そうなると、多額の含み益を持つ暗号資産については、非居住者になってから売却することで節税できるという見解があるのです。
ただし、この点も国税から明確な見解が出ていませんので、やるのであれば、税理士などの専門家に問い合わせた上、そのサポートを受けて実行するべきでしょう。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
・ 株式、投資信託、匿名組合出資などの有価証券
・ 未決済の信用取引など
・ 未決済のデリバティブ取引など
ご覧いただくと分かりますが、ここに暗号資産は上がっていません。このため、国税から明確な見解が出ている訳ではありませんが、暗号資産は国外転出時課税の対象にならないと言われています。近年、暗号資産取引は非常に増えており、含み益も多額になっていますが、少なくとも国外転出時課税の対象にはならないと考えられています。
■暗号資産の課税関係
暗号資産の課税関係について整理しますと、それを国内に住所を有する個人(居住者)が取引した場合、その所得に対し、総合課税の雑所得として課税されることになります。総合課税となると、個人住民税を合わせれば最大で55%の税金が課税されることになります。暗号資産の含み益は膨大であることが多いですが、これだけの税金が課税されるとなると、非常に大きな負担となります。
とりわけ、暗号資産の取引は、それを売って現金に換えた場合だけでなく、ビットコインから他の仮想通貨に両替するような場合など、暗号資産の種類が変わった場合にも、その変わったタイミングの時価で暗号資産を売ったとして、課税対象になります。現金に換えていないのに税金の対象になり、かつ暗号資産の値動きは非常に大きいため、納税しなければならないタイミングで大きく値下がりするため納税に困る、といった事態にも陥ることになります。
■国外転出をうまく使うと
このような事情があることから、暗号資産の税制は非常に酷と言われます。このため、その節税策として言われることの一つに、日本から国外転出して非居住者になることが挙げられています。
先の通り、暗号資産は国外転出時課税の対象にならないと言われます。同様に、非居住者が海外で暗号資産を売った場合にも、日本では課税対象にならないという見解があります。そうなると、多額の含み益を持つ暗号資産については、非居住者になってから売却することで節税できるという見解があるのです。
ただし、この点も国税から明確な見解が出ていませんので、やるのであれば、税理士などの専門家に問い合わせた上、そのサポートを受けて実行するべきでしょう。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。