相続において田や畑などのいわゆる農地を相続した場合、その評価は農地を以下の区分に区分して、それぞれ次に定める方法で評価することとされています。
1 純農地 ・・・ほぼ宅地に転用することが不可能な農地
倍率方式(固定資産税評価額に、国税が定めた倍率を乗じて計算する方法)
2 中間農地・・・1と3の中間位に位置する農地
倍率方式
3 市街地周辺農地 ・・・4の周辺にある農地として一定の農地
その農地が市街地農地であるとした場合の価額×80%
4 市街地農地 ・・・農地法の規定による転用許可を受けたような、宅地化しやすい農地
倍率方式又は宅地比準方式
■宅地比準方式とは
宅地比準方式とは、以下の算式で計算する方式を言います。
(その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額)―(1平方メートルあたりの造成費)×その農地の面積
ここでいうその農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額ですが、路線価で計算する地域であれば、その路線価によって評価することとなり、倍率方式で計算する地域であれば、農地に最も近く、かつ、道路からの位置や形状などが類似する宅地の1平方メートル当たりの評価額を基準に計算することとされます。
■造成費の取扱い
次に、1平方メートルあたりの造成費ですが、これは宅地にするとした場合に発生する費用で、整地費(整地費、伐採・抜根費、地盤改良費)・土盛費・土止費の3つからなります。なお、これらの費用は国税が定めており、国税庁のホームページで公表されています。
これらの費用について、控除して計算するとされているものの、実務では本当に控除していいのか迷うことがしばしばあります。インターネットを見ると、一般的な畑や田については、上記にある地盤改良費を原則として控除できないとされています。なぜなら、地盤改良は軟弱な土地について、その地盤を固めるような費用を言いますので、畑であればそもそも発生しないとも考えられるからです。加えて、田についても、日本の場合は乾田が多いため、同様に必要ない、といった指摘もあります。
このあたり、明確な見解は見当たらず、専門家でも迷うところですので、場合によっては国税に相談するなどした方がいいと思われます。
■地積規模の大きな宅地の減額もある
その他、市街地農地やそれに準ずる市街地周辺農地の場合、評価減が大きい地積規模の大きな宅地に準じた評価ができる場合があります。このあたりにも注意が必要です。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
1 純農地 ・・・ほぼ宅地に転用することが不可能な農地
倍率方式(固定資産税評価額に、国税が定めた倍率を乗じて計算する方法)
2 中間農地・・・1と3の中間位に位置する農地
倍率方式
3 市街地周辺農地 ・・・4の周辺にある農地として一定の農地
その農地が市街地農地であるとした場合の価額×80%
4 市街地農地 ・・・農地法の規定による転用許可を受けたような、宅地化しやすい農地
倍率方式又は宅地比準方式
■宅地比準方式とは
宅地比準方式とは、以下の算式で計算する方式を言います。
(その農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額)―(1平方メートルあたりの造成費)×その農地の面積
ここでいうその農地が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額ですが、路線価で計算する地域であれば、その路線価によって評価することとなり、倍率方式で計算する地域であれば、農地に最も近く、かつ、道路からの位置や形状などが類似する宅地の1平方メートル当たりの評価額を基準に計算することとされます。
■造成費の取扱い
次に、1平方メートルあたりの造成費ですが、これは宅地にするとした場合に発生する費用で、整地費(整地費、伐採・抜根費、地盤改良費)・土盛費・土止費の3つからなります。なお、これらの費用は国税が定めており、国税庁のホームページで公表されています。
これらの費用について、控除して計算するとされているものの、実務では本当に控除していいのか迷うことがしばしばあります。インターネットを見ると、一般的な畑や田については、上記にある地盤改良費を原則として控除できないとされています。なぜなら、地盤改良は軟弱な土地について、その地盤を固めるような費用を言いますので、畑であればそもそも発生しないとも考えられるからです。加えて、田についても、日本の場合は乾田が多いため、同様に必要ない、といった指摘もあります。
このあたり、明確な見解は見当たらず、専門家でも迷うところですので、場合によっては国税に相談するなどした方がいいと思われます。
■地積規模の大きな宅地の減額もある
その他、市街地農地やそれに準ずる市街地周辺農地の場合、評価減が大きい地積規模の大きな宅地に準じた評価ができる場合があります。このあたりにも注意が必要です。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。