日本に進出して間もない外資系の会社においては、日本でビジネスの立ち上げ段階ということで資金が足りず、外資の親会社が子会社である日本のその会社に資金を貸す、ということがよく見られます。資金を貸す以上、税務上は利息のやり取りを行う必要があります。とりわけ、海外の親会社など、海外の関連者との取引については適正な金額で取引すべきという税制(移転価格税制)がありますので、この利息についても、きちんとやり取りする必要があります。
■貸付金の利息と源泉徴収
ここで問題になるのは、外国親会社の所在地国によるものの、原則として外国法人に支払う貸付金の利子は、日本で源泉徴収が必要になるということです。このため、支払先の外国法人の所在地国の取扱い、これは原則として日本との条約(租税条約)によって決まっていますが、それを調べた上で源泉徴収が必要であればきちんと所得税を徴収して日本の税務署に納付する必要があります。
■その例外として
ただし、冒頭の日本に進出して間もない外資の子会社は、利息を払うのにも苦労することが多くあります。このような会社は、利息を計上するものの、未払として処理した上で、後日資金繰りが改善してから精算することが通例です。この場合、未払であれば源泉徴収は必要になりません。
というのも、源泉徴収は対象となる所得が支払われた時に行うこととされているからです。未払で実際に現金が動いていない以上、天引きもできませんから、源泉徴収も必要にならないという訳です。
■元本組入れには要注意
このため、未払で源泉徴収していないという会社も多くあるのですが、ここで注意したいのは元本組入れです。具体的には、未払の利息分につき、それを貸付金の元本に加算して、その利息分も元本として合わせて利息をとる、といった場合が元本組入れにあたりますが、この場合には源泉徴収の対象になるとされています。
先の通り、源泉徴収は「支払」の際に行われるのですが、その「支払」には元本組入れのように、もともとの債務が消滅するような行為も含まれるとされています。元本組入れにより、未払の利息は消滅して、別の借金という債務になることから、この場合も源泉徴収の対象になるとされるのです。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。
■貸付金の利息と源泉徴収
ここで問題になるのは、外国親会社の所在地国によるものの、原則として外国法人に支払う貸付金の利子は、日本で源泉徴収が必要になるということです。このため、支払先の外国法人の所在地国の取扱い、これは原則として日本との条約(租税条約)によって決まっていますが、それを調べた上で源泉徴収が必要であればきちんと所得税を徴収して日本の税務署に納付する必要があります。
■その例外として
ただし、冒頭の日本に進出して間もない外資の子会社は、利息を払うのにも苦労することが多くあります。このような会社は、利息を計上するものの、未払として処理した上で、後日資金繰りが改善してから精算することが通例です。この場合、未払であれば源泉徴収は必要になりません。
というのも、源泉徴収は対象となる所得が支払われた時に行うこととされているからです。未払で実際に現金が動いていない以上、天引きもできませんから、源泉徴収も必要にならないという訳です。
■元本組入れには要注意
このため、未払で源泉徴収していないという会社も多くあるのですが、ここで注意したいのは元本組入れです。具体的には、未払の利息分につき、それを貸付金の元本に加算して、その利息分も元本として合わせて利息をとる、といった場合が元本組入れにあたりますが、この場合には源泉徴収の対象になるとされています。
先の通り、源泉徴収は「支払」の際に行われるのですが、その「支払」には元本組入れのように、もともとの債務が消滅するような行為も含まれるとされています。元本組入れにより、未払の利息は消滅して、別の借金という債務になることから、この場合も源泉徴収の対象になるとされるのです。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。