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船荷証券の譲渡と消費税の関係について元国税の税理士が解説

相談LINE 2021年12月30日 19時0分

株式などの有価証券を譲渡した場合、原則として消費税は非課税とされます。しかし、非課税にならない有価証券もあり、その代表例としてゴルフ会員権と船荷証券があります。前者については、おそらくゴルフは一般消費者のスポーツではない、という前提で、敢えて非課税とする必要はないという理解なのでしょう。このため、原則として消費税が課税されることになります。

■船荷証券とは

次に、船荷証券ですが、そもそも船荷証券とは、貿易における船積書類のひとつであり、輸出者と船会社が備品運送契約を結んだことを証明する証拠書類を意味します。簡単に言えば、輸出者が船会社の船に、輸入者宛の商品を船積みしたことを証明する書類です。

貿易の実務においては、この船荷証券を引換証として、輸入者が商品を受け取ることになりますが、その一方で、この船荷証券は他人に譲渡することも可能とされています。このため、その譲渡を行う場合の課税関係が問題になります。

消費税法上、船荷証券の譲渡は有価証券の譲渡ではなく、船荷証券の対象とされる貨物の譲渡として取り扱われることになります。このため、貨物の譲渡に係る消費税の取扱いに準じて課税関係を考える必要があります。

■貨物の譲渡と消費税

貨物の譲渡に係る消費税ですが、貨物のような資産については、それが国内にあった場合、消費税の対象になるとされています。このため、貨物についても国内にあるかが問題になりますが、船荷証券の貨物については、基本的に海上にあります。

海上にある場合、それが国内か否か、その判断は複雑になりますので、国税庁が公表している消費税の通達の取扱いにより、船荷証券の荷揚地が国内である場合の船荷証券の譲渡については、原則として国内取引に該当する、とされています。

このため、原則として国内が荷揚地の船荷証券を譲渡した場合、消費税の対象になります。

■輸出免税の対象になり得る

しかし、実際のところこのケースは消費税が免除されると考えられます。なぜなら、輸出免税取引に該当すると考えられるからです。

消費税において、通関する前の貨物は「外国貨物」とされ、外国貨物の譲渡は輸出免税取引として消費税が免除されることとされています。船荷証券についてもこの取扱いの対象になると考えられます。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

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