NPO法人は東日本大震災以降、ボランティアとしてより活動の幅を広げ、今や全国でのその認証件数は5万件に達しようとしています。そして、そのボランティアとして活躍するNPO法人の裏には、そこで働く方々の支えが不可欠であることは言うまでもないでしょう。しかし近年、増加するNPO法人の数に比例して、NPO法人に従事する方々の賃金問題が顕在化しています。今回は一般の民間企業とはその設立理念も異なるNPO法人の賃金問題について、加塚裕師弁護士に話を聞いてみました。
■NPOでも雇用契約を交わしているなら、賃金は勿論、残業代もしっかり支払うべき
まず前提としてNPO法人は賃金を支払う義務はあるのでしょうか?
『一般の民間企業であろうが、NPOであろうが、労働者を雇用契約に基づき雇用している場合には、当然に労働基準法の適用があり、労働者を法定労働時間を超えて労働させれば時間外手当の支払義務を免れることはできません』(加塚裕師弁護士)
つまり通常の賃金支払い義務があることはもちろん、残業をした場合にもその時間分の賃金を請求することできるということです。
■「ボランティアだから給料は出さない!」と言われたら?
しかし、NPOの大きな特徴は「非営利組織」ということにあり、この理念に従ってボランティアをその活動内容とする法人がほとんどです。
ここで法人側が「あなたがしている仕事もその残業もボランティアなのだから、お金目的で働いてはいけない。だから給料はない」という主張をしてきた場合に、働いている側はどのような反論をして賃金の請求を正当化できるのでしょうか。
『労働時間の就労を「ボランティア」としている場合、それが単なる名目であれば、やはり賃金の支払義務は免れないと考えます。この点、賃金の支払義務の対象となる労働時間とは、労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否かにより客観的に判断されるものとされています。したがって、名目がボランティアであっても、事実上就労が使用者から義務づけられており、使用者の指揮命令下におかれているような場合には、賃金の支払義務が発生することになります』(加塚裕師弁護士)
■指揮命令があるならばそれは労働、つまり賃金は発生!
重要なポイントはボランティアと労働を分ける違いとして、ボランティアと主張される労働であっても、それ自体が雇い主の指示監督のもとにある場合に、賃金支払い義務を伴う労働として認められるという点です。
これが法人側の名目的ボランティア主張の退路を塞ぐ一手になるでしょう。
■NPOだからと遠慮せずに、働いた分はしっかり請求しましょう!
最後に日本では一般的な法人でも人間関係が単なる労働契約に基づくものよりも個人的な付き合いなど深くなりがちであり、お金の話をすると白い目で見られることもあります。
NPO法人に至ってはその傾向がなお強く、それはNPO法人がもともと有志による人的結合から発生した法人だからという理由に求められます。これに屈しないように働く側はどのような主張すべきなのでしょうか。
『上記にて述べたとおり、一般の民間企業であれNPOであれ、労働者を雇用している場合に労働基準法が適用されることについては何ら差異はありません。したがって、NPOだからといって特別視する必要はなく、労働者としての当然の権利として請求すればよいと思います』(加塚裕師弁護士)
金の切れ目は縁の切れ目、とも言われますが長期的なボランティア活動継続のためにもお金に対してはお互いに満足できるような関係を築くことも重要でしょう。
■NPOでも雇用契約を交わしているなら、賃金は勿論、残業代もしっかり支払うべき
まず前提としてNPO法人は賃金を支払う義務はあるのでしょうか?
『一般の民間企業であろうが、NPOであろうが、労働者を雇用契約に基づき雇用している場合には、当然に労働基準法の適用があり、労働者を法定労働時間を超えて労働させれば時間外手当の支払義務を免れることはできません』(加塚裕師弁護士)
つまり通常の賃金支払い義務があることはもちろん、残業をした場合にもその時間分の賃金を請求することできるということです。
■「ボランティアだから給料は出さない!」と言われたら?
しかし、NPOの大きな特徴は「非営利組織」ということにあり、この理念に従ってボランティアをその活動内容とする法人がほとんどです。
ここで法人側が「あなたがしている仕事もその残業もボランティアなのだから、お金目的で働いてはいけない。だから給料はない」という主張をしてきた場合に、働いている側はどのような反論をして賃金の請求を正当化できるのでしょうか。
『労働時間の就労を「ボランティア」としている場合、それが単なる名目であれば、やはり賃金の支払義務は免れないと考えます。この点、賃金の支払義務の対象となる労働時間とは、労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価することができるか否かにより客観的に判断されるものとされています。したがって、名目がボランティアであっても、事実上就労が使用者から義務づけられており、使用者の指揮命令下におかれているような場合には、賃金の支払義務が発生することになります』(加塚裕師弁護士)
■指揮命令があるならばそれは労働、つまり賃金は発生!
重要なポイントはボランティアと労働を分ける違いとして、ボランティアと主張される労働であっても、それ自体が雇い主の指示監督のもとにある場合に、賃金支払い義務を伴う労働として認められるという点です。
これが法人側の名目的ボランティア主張の退路を塞ぐ一手になるでしょう。
■NPOだからと遠慮せずに、働いた分はしっかり請求しましょう!
最後に日本では一般的な法人でも人間関係が単なる労働契約に基づくものよりも個人的な付き合いなど深くなりがちであり、お金の話をすると白い目で見られることもあります。
NPO法人に至ってはその傾向がなお強く、それはNPO法人がもともと有志による人的結合から発生した法人だからという理由に求められます。これに屈しないように働く側はどのような主張すべきなのでしょうか。
『上記にて述べたとおり、一般の民間企業であれNPOであれ、労働者を雇用している場合に労働基準法が適用されることについては何ら差異はありません。したがって、NPOだからといって特別視する必要はなく、労働者としての当然の権利として請求すればよいと思います』(加塚裕師弁護士)
金の切れ目は縁の切れ目、とも言われますが長期的なボランティア活動継続のためにもお金に対してはお互いに満足できるような関係を築くことも重要でしょう。