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退職を迫られた場合、どんなケースが違法になるの?辞めたくなかったらどうすればいいの?

相談LINE 2015年2月28日 20時0分

従業員と雇用契約を交わしている以上、その契約の解消、つまり解雇するには一定の要件が必要です。
労働契約法16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。つまり「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当」だと認められない限りは解雇は無効ということになります。例えば経営が悪化してきたため解雇したいと考えたとしても、これは解雇の要件には当りません。
しかし誤解されがちですが、従業員に退職をお願いする行為、「退職勧奨」は認められています。ただしその退職勧奨は、従業員が合意をしない限りは成立しませんが、その退職勧奨が行き過ぎた事によって、ある被用者が慰謝料を求めた事例が過去にありました。今回は、その事例を元にどんな退職勧奨が違法になるかについて、岡村茂樹弁護士に話を聞いてみました。

■退職勧奨が違法であり、慰謝料請求が認められた事例を教えて下さい

『退職勧奨が違法であり、慰謝料請求が認められた事例(下関商業高校事件)。この事例は「地方公務員である市立高等学校の教員が退職勧奨に応じないことを表明し、優遇措置も打ち切られているにもかかわらず、市教育委員会の担当者が、退職するまで勧奨を続ける旨繰り返し述べて短期間内に多数回、長時間にわたり執拗に退職を勧奨し、かつ、退職しない限り所属組合の宿直廃止、欠員補充の要求にも応じないとの態度を示すなど、原判示の事実関係のもとにおいては、右退職の勧奨行為は違法である」とした下級審の判決を最高裁判所が支持したものです。』(岡村茂樹弁護士)

つまり退職勧奨には応じないと言っているにもかかわらず何度も長時間せまったというこですね。


■具体的にはどのように違法行為があったのでしょうか

『広島高等裁判所は「退職勧奨は、任命権者がその人事権に基き、雇用関係ある者に対し、自発的な退職意思の形成を慫慂するためになす説得等の行為であって、法律に根拠をもつ行政行為ではなく、単なる事実行為である。従って被勧奨者は何らの拘束なしに自由にその意思を決定しうるこというまでもない」と退職勧奨恐れるに足らずともいうべき考えをまずは明確にしています』(岡村茂樹弁護士)

冒頭で述べたように、やはり退職勧奨は従業員が同意しない限りは成立しないということですね。
では違法性が認められるほどの退職勧奨ということですが、具体的にはどれほど迫ったのでしょうか?

『第一回目の勧奨から一貫して勧奨には応じないことを表明しているにもかかわらず、そこから2~3年にかけて退職勧奨を続け、更に3~4カ月に11~13回の出頭を命じたり、長いときには2時間を超える勧奨が行われました。広島高等裁判所は「これはあまりにも執拗になされた感はまぬがれず、退職勧奨として許容される限界を越えているものというべきである」とし、また「退職するまで勧奨を続ける旨の発言を繰り返し述べて被控訴人らに際限なく勧奨が続くのではないかとの不安感を与え、心理的圧迫を加えたものであって許されないものといわなければならない」として、その違法性を認め,使用者側に慰謝料の支払いを命じています』(岡村茂樹弁護士)




■「退職勧奨には応じない」と明確に拒絶することが必要!

退職勧奨が「社会通念上相当」な範囲で行われているかどうかの基準は個別の事案によって、その評価は異なります。また客観的かつ合理的な理由を欠く退職勧奨も、従業員が明確に拒絶しているかどうかによって違法性の判断が変わります。

このことを踏まえて、退職勧奨を迫られたらどう対応するべきかについて、岡村茂樹弁護士は『従業員としては,曖昧な態度を示すことなく,退職勧奨を明確かつ断定的に拒絶することが必要になるのです』と最後に締めくくってもらいました。

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