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転職検討中の方や、採用担当者なら絶対に知っておくべき「競業避止契約」を弁護士が解説!

相談LINE 2015年5月30日 20時15分

昨年、米Amazonがgoogleに転職した元従業員を、競業企業転職禁止契約に違反したとして、ワシントン州連邦地方裁判所に提訴した。ビジネスにおける情報戦に、非常に重きを置く米国では、この手の訴訟が多いようだが、米Amazonはこれ以外にも似たような事例で世間を賑わせた。それは今年の3月、なんと正社員だけでなく、短期アルバイトに対しても、退職後1年半は「競合他社」への転職をしないという契約にサインさせていたのである。(現在は撤廃したとAmazonは発表している)
同業他社への転職に限らず、同業の会社を立ち上げることを禁止する契約を「競業避止契約」というが、今回はこれがどんなケースにおいて有効になるかのかを、大木秀一郎弁護士に寄稿して頂いた。

■職業選択の自由に抵触しうる「競業避止契約」

競業避止契約とは一般的には、雇用契約の存在を前提とするものですが、雇用関係解消後にも同種の競業避止義務を定めている契約形態も多くみられます。

今回は同契約との関係を説明させていただきます(在籍中に限定されていれば競業避止義務違反という観点からは、ライバル会社への転職等は問題がないことになります)。

競業避止契約は、従業員の職業選択の自由と抵触しうるものですので、判例上その有効性は慎重に判断されています。すなわち、競業避止契約は、従業員が辞職後に就職できる職業の範囲に制限を加えるものとなるので、無効と考えることによって、従業員を保護している判例・裁判例が存在しているわけです。

■「制限期間」と「職種・場所の範囲」と「代償措置の有無」

判断要素は複数存在しますが、わかりやすく簡易にまとめたうえで、特に重要な要素に絞って説明します。

(1)競業避止の制限期間の長短
無制限では無効となります。2、3年以内であれば有効になる余地があります。
(2)制限される職種の範囲・場所的な範囲。
たとえば、前の勤務先会社が沖縄県でしか営業していなかったにもかかわらず、北海道での、競業活動を禁止するのは明らかに行き過ぎでしょう。
(3)代償措置の有無
今後競業企業に勤めないことを条件に十分な退職金が支払われていれば、同契約が有効であるという判断要素になるでしょう。

上記要素等を判断して競業避止契約が無効であれば、ライバル会社への転職や元職場と同業の会社を立ち上げるなどの行為が競業避止義務違反にあたらないと考えられます。

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