日本における刑事司法では、無罪判決の確率は0.1パーセントと言われており、無罪の獲得は非常に難しいというのをご存知だろうか。
例えば平成25年の1年間に行われた、地方裁判所での刑事事件の訴訟件数は71900件あり、そのうち有罪判決は51177件に対して、無罪判決はたったの110件である。
ちなみに刑事補償法では、身体拘束されて無罪が確定した場合、一日につき一定額の補償を行うと決めている。
しかし、当然ではあるがそれ以外にもかかった費用があり、弁護士に対する報酬などの補償はどうなっているのだろうか。今回はこの問題について、荻原邦夫弁護士に話を伺った。
■無罪が確定すれば、身体拘束一日につき1000円以上12500円以下の補償が受けられる
無罪が確定した場合、そもそも国からなんらかしらの補償はあるのだろうか。
「逮捕勾留され起訴されたが無罪となった場合には、国から補償を得ることができます」(荻原邦夫弁護士)
「その補償の内容としては、時代とともに何度も改正されていますが、現在は、身体拘束1日あたり1000円以上12500円以下です」(荻原邦夫弁護士)
これを聞いてどう感じただろうか。身体拘束された上に、過酷な取調べを受けたことに対する補償としては割に合わないと感じる方が多いのではないだろうか。荻原邦夫弁護士もこのように話している。
「身体の自由を奪われた状態下での取調べのことなどを考えると、必ずしも十分な補償とはいえないかもしれません」(荻原邦夫弁護士)
■弁護士費用等は全額補償とは限らない
身体拘束に対する補償以外で、例えば弁護士費用などはどうなるのだろうか。
「裁判で必要となった費用として、本人及び弁護人の旅費、日当等、弁護士費用が補償されます。ただ、これは実際支出した費用全てを補償するものではなく、補償する金額は裁判所が決定します」(荻原邦夫弁護士)
全額ではないとなると、マイナスが発生することも十分考えられるが、その場合はどうなるのだろうか。
「これらの補償では補填しきれない損害が生じている場合には、国に対して賠償を請求することができます(国家賠償法1条1項)」(荻原邦夫弁護士)
「これは、裁判所においては、単に無罪となったというだけではなく、無罪に至るまでの各手続きにおいて、合理性を欠く違法がある場合に、認められています」(荻原邦夫弁護士)
■二度と冤罪事件を起こさないことも償いの一つ
無罪に至るまでの各手続きに関与する人とは、主に警察や検察官、裁判官である。つまり、損害賠償が認められるためには、「警察官の捜査」、「検察官の取り調べ」、「身体拘束を決めた裁判官」などの行為に違法であることが必要となる。
しかし、一定の疑いに基いて逮捕状を取り、取調べを行うことは合法であり、一定の疑いがある方の身体拘束をすることも合法となっているため、余程の事がない限り、難しいと言わざるを得ないのかもしれない。
ちなみに冤罪となった袴田さんの事件では、身体拘束は48年に及び、一日あたり12500円が認められ、その補償額は2億円超と言われている。しかし、その時間は戻ることはない。国は、金銭的な補償だけでなく、二度と冤罪事件を起こさないようにすることも償いの一つになりえるのではないだろうか。
例えば平成25年の1年間に行われた、地方裁判所での刑事事件の訴訟件数は71900件あり、そのうち有罪判決は51177件に対して、無罪判決はたったの110件である。
ちなみに刑事補償法では、身体拘束されて無罪が確定した場合、一日につき一定額の補償を行うと決めている。
しかし、当然ではあるがそれ以外にもかかった費用があり、弁護士に対する報酬などの補償はどうなっているのだろうか。今回はこの問題について、荻原邦夫弁護士に話を伺った。
■無罪が確定すれば、身体拘束一日につき1000円以上12500円以下の補償が受けられる
無罪が確定した場合、そもそも国からなんらかしらの補償はあるのだろうか。
「逮捕勾留され起訴されたが無罪となった場合には、国から補償を得ることができます」(荻原邦夫弁護士)
「その補償の内容としては、時代とともに何度も改正されていますが、現在は、身体拘束1日あたり1000円以上12500円以下です」(荻原邦夫弁護士)
これを聞いてどう感じただろうか。身体拘束された上に、過酷な取調べを受けたことに対する補償としては割に合わないと感じる方が多いのではないだろうか。荻原邦夫弁護士もこのように話している。
「身体の自由を奪われた状態下での取調べのことなどを考えると、必ずしも十分な補償とはいえないかもしれません」(荻原邦夫弁護士)
■弁護士費用等は全額補償とは限らない
身体拘束に対する補償以外で、例えば弁護士費用などはどうなるのだろうか。
「裁判で必要となった費用として、本人及び弁護人の旅費、日当等、弁護士費用が補償されます。ただ、これは実際支出した費用全てを補償するものではなく、補償する金額は裁判所が決定します」(荻原邦夫弁護士)
全額ではないとなると、マイナスが発生することも十分考えられるが、その場合はどうなるのだろうか。
「これらの補償では補填しきれない損害が生じている場合には、国に対して賠償を請求することができます(国家賠償法1条1項)」(荻原邦夫弁護士)
「これは、裁判所においては、単に無罪となったというだけではなく、無罪に至るまでの各手続きにおいて、合理性を欠く違法がある場合に、認められています」(荻原邦夫弁護士)
■二度と冤罪事件を起こさないことも償いの一つ
無罪に至るまでの各手続きに関与する人とは、主に警察や検察官、裁判官である。つまり、損害賠償が認められるためには、「警察官の捜査」、「検察官の取り調べ」、「身体拘束を決めた裁判官」などの行為に違法であることが必要となる。
しかし、一定の疑いに基いて逮捕状を取り、取調べを行うことは合法であり、一定の疑いがある方の身体拘束をすることも合法となっているため、余程の事がない限り、難しいと言わざるを得ないのかもしれない。
ちなみに冤罪となった袴田さんの事件では、身体拘束は48年に及び、一日あたり12500円が認められ、その補償額は2億円超と言われている。しかし、その時間は戻ることはない。国は、金銭的な補償だけでなく、二度と冤罪事件を起こさないようにすることも償いの一つになりえるのではないだろうか。