韓国で猛威をふるうMERS。報道によると本日までに感染者186人、死者数33人にのぼったと発表された。
お隣の国、韓国で流行していることも有り、日本国内でも非常に大きく取り上げられているが、先日、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」には該当しないと発表した。
ちなみに「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」とは、国際的な対応を特に必要とするもので、過去に該当したのは3つしか無い。記憶に新しいのは2014年の西アフリカエボラ出血熱流行だろう。
外務省は、現時点で韓国への渡航禁止令を出していない。しかし、先月サッカー15歳以下の日本代表が韓国遠征を中止したように、それぞれが自己責任で判断しなければならない。
さて今回は、感染拡大を防ぐために、病院への搬送・検査を命じられた場合、感染症の疑いがあるだけならば拒否することができるのどうかを濱悠吾弁護士に伺った。
■感染症の疑いがあるだけでも、拒否はできない!
「結論としては、搬送を拒否することはできません」(濱悠吾弁護士)
こう切り出した濱悠吾弁護士。では拒否することが出来ないと具体的に定められた法律とはなんだろうか。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する措置を定めた法律として、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』があります。一般には感染症予防法と呼ばれています」(濱悠吾弁護士)
「この法律は、感染力や罹患した場合の重篤性などに基づき、感染症を危険性が高い順に一類から五類に分類しています。ちなみにエボラ出血熱は、危険性が最も高いとされる一類感染症に分類されています」(濱悠吾弁護士)
■相当な自由を制限される!
つまり感染症予防法には、感染症が確定した患者だけじゃなく、疑いがあるだけの者に対しても、搬送や検査、入院などの措置を取ることができるということだろうか。
「都道府県知事は、一定の感染症にかかっていると疑われる者に対し、健康診断を受けることの勧告を行うことができます」(濱悠吾弁護士)
「また感染症の中でも危険性の高い『一類感染症』、『二類感染症』及び『新型インフルエンザ』等のまん延を防止する必要があると認めるときは、患者に対して入院を勧告することができ、この勧告に従わない者に対しては、72時間以内の期間を定めて、指定医療機関に強制的に入院させることができます」(濱悠吾弁護士)
「さらに入院継続の必要性がある場合には、10日以内の期間を定めて、入院を延長することができます。この入院の延長回数には制限は課されておりません」(濱悠吾弁護士)
■しかし必要以上に自由を制限してはならないと定められている
感染症が拡大している国から帰国し、「熱っぽい」や「吐き気がある」という症状が出た場合、本人はただの熱だと思っていたとしても、感染症の疑いをかけられる可能性はあるだろう。しかし、熱っぽいというだけで、その時点から相当期間、検査・入院しなければならない可能性があるとなると、その拘束力はかなり強いと言えるのではないだろうか。
「これらの措置が患者の自由を強く制限するものであることから、感染症予防法は、感染症の発生・まん延を予防するため最小限度の措置でなくてはならないことを定めています。また入院の措置について、都道府県知事は、患者及び保護者に対して適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならないことが定められています」(濱悠吾弁護士)
必要以上に拘束・制限しないこと、本人を含めた保護者への適切な説明と配慮に努めることが定められていると、濱悠吾弁護士は言う。
■MERSの予防はマスクとこまめな手洗い!
MERSは、2003年に中国で大流行したSARSと同様に、コロナウィルスによる感染症である。
ただし感染源は異なり、SARSはハクビシンが自然宿主であったが、MERSはヒトコブラクダと言われている。
また致死率もSARSが11%程度に対して、MERSは致死率約40%と、非常に高い数値が出ている。
WHOのMERSに関する資料によると、主な感染経路は飛沫感染と接触感染の二つであり、その予防策や治療法は「咳やくしゃみなどの症状がある人との接触を避け、また動物(ラクダを含む)との接触は可能な限り避けることが重要です。また、現在、MERSに対するワクチンや特異的な治療法はありません。患者の症状に応じた治療(対症療法)になります」とのこと。
この夏、感染地域へ旅行を検討している人は、是非気をつけていただきたい。
お隣の国、韓国で流行していることも有り、日本国内でも非常に大きく取り上げられているが、先日、世界保健機関(WHO)は「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」には該当しないと発表した。
ちなみに「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」とは、国際的な対応を特に必要とするもので、過去に該当したのは3つしか無い。記憶に新しいのは2014年の西アフリカエボラ出血熱流行だろう。
外務省は、現時点で韓国への渡航禁止令を出していない。しかし、先月サッカー15歳以下の日本代表が韓国遠征を中止したように、それぞれが自己責任で判断しなければならない。
さて今回は、感染拡大を防ぐために、病院への搬送・検査を命じられた場合、感染症の疑いがあるだけならば拒否することができるのどうかを濱悠吾弁護士に伺った。
■感染症の疑いがあるだけでも、拒否はできない!
「結論としては、搬送を拒否することはできません」(濱悠吾弁護士)
こう切り出した濱悠吾弁護士。では拒否することが出来ないと具体的に定められた法律とはなんだろうか。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する措置を定めた法律として、『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律』があります。一般には感染症予防法と呼ばれています」(濱悠吾弁護士)
「この法律は、感染力や罹患した場合の重篤性などに基づき、感染症を危険性が高い順に一類から五類に分類しています。ちなみにエボラ出血熱は、危険性が最も高いとされる一類感染症に分類されています」(濱悠吾弁護士)
■相当な自由を制限される!
つまり感染症予防法には、感染症が確定した患者だけじゃなく、疑いがあるだけの者に対しても、搬送や検査、入院などの措置を取ることができるということだろうか。
「都道府県知事は、一定の感染症にかかっていると疑われる者に対し、健康診断を受けることの勧告を行うことができます」(濱悠吾弁護士)
「また感染症の中でも危険性の高い『一類感染症』、『二類感染症』及び『新型インフルエンザ』等のまん延を防止する必要があると認めるときは、患者に対して入院を勧告することができ、この勧告に従わない者に対しては、72時間以内の期間を定めて、指定医療機関に強制的に入院させることができます」(濱悠吾弁護士)
「さらに入院継続の必要性がある場合には、10日以内の期間を定めて、入院を延長することができます。この入院の延長回数には制限は課されておりません」(濱悠吾弁護士)
■しかし必要以上に自由を制限してはならないと定められている
感染症が拡大している国から帰国し、「熱っぽい」や「吐き気がある」という症状が出た場合、本人はただの熱だと思っていたとしても、感染症の疑いをかけられる可能性はあるだろう。しかし、熱っぽいというだけで、その時点から相当期間、検査・入院しなければならない可能性があるとなると、その拘束力はかなり強いと言えるのではないだろうか。
「これらの措置が患者の自由を強く制限するものであることから、感染症予防法は、感染症の発生・まん延を予防するため最小限度の措置でなくてはならないことを定めています。また入院の措置について、都道府県知事は、患者及び保護者に対して適切な説明を行い、理解を得るよう努めなければならないことが定められています」(濱悠吾弁護士)
必要以上に拘束・制限しないこと、本人を含めた保護者への適切な説明と配慮に努めることが定められていると、濱悠吾弁護士は言う。
■MERSの予防はマスクとこまめな手洗い!
MERSは、2003年に中国で大流行したSARSと同様に、コロナウィルスによる感染症である。
ただし感染源は異なり、SARSはハクビシンが自然宿主であったが、MERSはヒトコブラクダと言われている。
また致死率もSARSが11%程度に対して、MERSは致死率約40%と、非常に高い数値が出ている。
WHOのMERSに関する資料によると、主な感染経路は飛沫感染と接触感染の二つであり、その予防策や治療法は「咳やくしゃみなどの症状がある人との接触を避け、また動物(ラクダを含む)との接触は可能な限り避けることが重要です。また、現在、MERSに対するワクチンや特異的な治療法はありません。患者の症状に応じた治療(対症療法)になります」とのこと。
この夏、感染地域へ旅行を検討している人は、是非気をつけていただきたい。