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のび太の物は俺の物!イジメっ子の王様ジャイアンの訴訟リスクが相当高い?

相談LINE 2015年12月16日 21時0分

イジメっ子キャラが存在するアニメは数多い。しかし、その中でもイジメっ子キャラの王様と言えば、ドラえもんのジャイアンではないだろうか。
ジャイアンがイジメっ子キャラとして定着している一つの理由に、そのイジメ行為の豊富なバリエーションにある。つまりジャイアンのイジメは単純な暴力だけにとどまらないのだ。具体的にはリサイタル参加への強要や、のび太のものは俺のものと言って強奪する行為が有名である。
アニメの話を現実の世界と照らし合わせることに違和感を感じる方もいるかもしれないが、実際はこういったいじめによって自ら命を絶つ子がいるのは紛れも無い事実である。そこで今回はジャイアンを例に、具体的にどんな罪に問われる可能性があるのかを清水陽平弁護士に伺った。

■暴行罪、傷害罪、傷害致死罪、殺人罪、窃盗罪などなど…

「暴力がふるわれれば暴行罪(刑法208条)、その結果怪我をすれば傷害罪(刑法204条)、さらに、死亡結果が生じてしまえば傷害致死罪(刑法205条)や殺人罪(刑法199条)が成立しえます」(清水陽平弁護士)

いじめには色々な行為があるが、暴力をふるった場合の罪についてまずは伺った。アニメでは、いじめられたのび太の原形をとどめていない顔が度々映しだされているが、当りどころが悪ければ死亡してしまう可能性もあるだろう。ジャイアンの腕力は最早凶器である。

ではのび太のものは俺のものと無断で奪う行為はどうだろうか。

「『のび太のものは俺のもの』と言って無断で奪う行為ですが、まず、のび太から文字通り奪い取った場合や、のび太のいないうちに勝手に取ってしまった場合などには、『人のものを意思に反して窃取した』ことになるので、窃盗罪(刑法235条)が成立します」(清水陽平弁護士)

■小学生のジャイアンに罪を問うことはできない

しかしここで、窃盗罪だけにとどまらない可能性があると清水陽平弁護士が付け加える。

「『のび太のものは俺のものだ!よこせ!』などと言われたのび太がジャイアンに自分のものを渡してしまった場合には、恐喝罪(刑法249条)が成立する可能性があります。なぜなら、のび太は、日頃から暴力をふるわれているので、ジャイアンの命令に従わないとまた暴力をふるわれると当然想像しています。そして、ジャイアンもそれを分かって要求しているのですから、『渡さないと暴力をふるうぞ』ということを暗に示しているといえ、『人を恐喝して財物を交付させた』場合に該当しうるのです」(清水陽平弁護士)

断ると暴力を振るうということを暗に示す行為は、リサイタル参加への強要にも通じるのだろうか。

「同じように、リサイタルへの参加の強要も、『参加しないと暴力をふるうぞ』ということを暗に示して参加を求めています。そのため、『脅迫して人に義務の無いことを行わせた』場合にあたり、強要罪(刑法223条)が成立しえます」(清水陽平弁護士)

「もっとも、14歳以下は刑法上責任を問われません。そして、ジャイアンは小学生という設定ですから、年齢を考慮すれば、罪には問われません」(清水陽平弁護士)

■民事上の責任は親が負うことになる

問題は刑事上の責任だけでなく、民事上の責任も問われることだ。具体的には不法行為による賠償請求である。

勿論、子どもとなると責任能力が低いため、その責任を負わないことも多いが、そこは当然のことながら監督義務者である親が負うことになる。

つまりジャイアンのイジメ行為について、のび太が精神的苦痛を受けたと主張し損害賠償請求の訴訟をおこしたら、責任を問われるのはジャイアンのお母さんになる可能性が高いのだ。

■リーダーシップと仲間への強烈な思いやりを持ったジャイアン

さてこれまで、イジメ行為の訴訟リスクの高さを述べてきたが、いかがであっただろうか。

いじめがいけないことは言うまでもない。イジメをすることは勿論、傍観者となることも決してはあってはならない。

ジャイアンをそんなイジメっ子の代名詞として説明させて頂いたが忘れてはならないことが一つある。

それはみんなを引っ張る強いリーダーシップと、仲間に対しての強烈な思いやりを持っていることだ。



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