近年「不正受給」というワードを伴ったニュースが増えているような気がするがどうだろうか。
試しに不正受給のニュースをインターネットで調べてみると、「不正受給」とともに「生活保護、補助金、年金、助成金、給付金、就学支援金、タクシー代」などが上がり、その数も1週間に最低でも1つ以上あり、印象としては決して少なくない。不正受給が起こる原因、それはまさに制度の悪用に他ならないが、その対象は国や自治体だけでなく、企業もその1つと言えるだろう。代表的なのは「残業手当、交通費、出張費」である。国や自治体を対象にした不正受給の防止は行政の管轄だが、企業を対象にしたものであればすぐに対応が可能だろう。そこで今回は出張代や残業手当、交通費などの不正受給を働いた従業員に対して、どのような対応をとるべきか、法律の専門家である濱悠吾弁護士に伺った。
■本人に問う前に出来る限り情報収集を!
「出張費や残業代、交通費の不正受給の疑いが生じた場合、会社としては、本人に事情聴取をする前に、可能な限りの事実確認と証拠の収集を行うことをお勧めします。例えば、本人が提出した資料の適正性の裏取りや関係従業員へのアンケートの実施等が考えられます」(濱悠吾弁護士)
まずはこう話す濱悠吾弁護士。不正受給について問う前に、出来る限り事実の確認を行うべきだというが、その理由はなんだろうか。
「事実確認と証拠収集を事前に行っておくことで、本人へ事情聴取を行った際に、虚偽の申告を見抜ける可能性が高くなります」(濱悠吾弁護士)
企業としては、不正受給による被害額や期間、回数が重要である。だからこそ、その申告が本当に正しいかどうかを把握する必要があるということだろう。
■事情聴取をするなら慎重に!
では事情聴取を行う際に、どんな点に気をつけるべきだろうか。また不正受給の事実が確定した場合はどう対応するべきだろうか。
「事情聴取を行った際には、証拠を確保するために、聴取内容を書き記した書面に署名させるか、本人に聴取内容を記載した書面を提出させることをお勧めします。不正受給があったことが確定すれば、会社の就業規則の定めに則り、懲戒処分を行うことになります」(濱悠吾弁護士)
ちなみにこの場合、懲戒解雇という処分は妥当だろうか。
「出張費や残業代の不正受給が発覚した際に、そのことを理由として解雇を行えるかは一概には言えません」(濱悠吾弁護士)
「もっとも、出張費や残業代の不正受給は、刑法上の詐欺罪に該当する重大な違法行為ですし、企業秩序も大きく損なわれますので、過去には、解雇を有効とする裁判例が比較的多かったといえます」(濱悠吾弁護士)
■不正受給費を給料から天引きしてはだめ!
最後に、不正受給費の返還は、給料から天引きしても問題はないのだろうか。
「不正受給費の返還する方法として、給料から天引きを行うことは、労働基準法で定める『賃金全額払いの原則』に違反する可能性が高いといえます。そのため、手続が面倒でも給料とは別に、支払いを行わせることが必要です」
給料からの天引きが最も楽な方法に思えるが、それについては違法となる可能性が高いため控えるようご注意頂きたい。
またそもそも不正受給は、濱悠吾弁護士が言うように、詐欺罪(懲役10年以下)という立派な犯罪であることも忘れてはならない。
試しに不正受給のニュースをインターネットで調べてみると、「不正受給」とともに「生活保護、補助金、年金、助成金、給付金、就学支援金、タクシー代」などが上がり、その数も1週間に最低でも1つ以上あり、印象としては決して少なくない。不正受給が起こる原因、それはまさに制度の悪用に他ならないが、その対象は国や自治体だけでなく、企業もその1つと言えるだろう。代表的なのは「残業手当、交通費、出張費」である。国や自治体を対象にした不正受給の防止は行政の管轄だが、企業を対象にしたものであればすぐに対応が可能だろう。そこで今回は出張代や残業手当、交通費などの不正受給を働いた従業員に対して、どのような対応をとるべきか、法律の専門家である濱悠吾弁護士に伺った。
■本人に問う前に出来る限り情報収集を!
「出張費や残業代、交通費の不正受給の疑いが生じた場合、会社としては、本人に事情聴取をする前に、可能な限りの事実確認と証拠の収集を行うことをお勧めします。例えば、本人が提出した資料の適正性の裏取りや関係従業員へのアンケートの実施等が考えられます」(濱悠吾弁護士)
まずはこう話す濱悠吾弁護士。不正受給について問う前に、出来る限り事実の確認を行うべきだというが、その理由はなんだろうか。
「事実確認と証拠収集を事前に行っておくことで、本人へ事情聴取を行った際に、虚偽の申告を見抜ける可能性が高くなります」(濱悠吾弁護士)
企業としては、不正受給による被害額や期間、回数が重要である。だからこそ、その申告が本当に正しいかどうかを把握する必要があるということだろう。
■事情聴取をするなら慎重に!
では事情聴取を行う際に、どんな点に気をつけるべきだろうか。また不正受給の事実が確定した場合はどう対応するべきだろうか。
「事情聴取を行った際には、証拠を確保するために、聴取内容を書き記した書面に署名させるか、本人に聴取内容を記載した書面を提出させることをお勧めします。不正受給があったことが確定すれば、会社の就業規則の定めに則り、懲戒処分を行うことになります」(濱悠吾弁護士)
ちなみにこの場合、懲戒解雇という処分は妥当だろうか。
「出張費や残業代の不正受給が発覚した際に、そのことを理由として解雇を行えるかは一概には言えません」(濱悠吾弁護士)
「もっとも、出張費や残業代の不正受給は、刑法上の詐欺罪に該当する重大な違法行為ですし、企業秩序も大きく損なわれますので、過去には、解雇を有効とする裁判例が比較的多かったといえます」(濱悠吾弁護士)
■不正受給費を給料から天引きしてはだめ!
最後に、不正受給費の返還は、給料から天引きしても問題はないのだろうか。
「不正受給費の返還する方法として、給料から天引きを行うことは、労働基準法で定める『賃金全額払いの原則』に違反する可能性が高いといえます。そのため、手続が面倒でも給料とは別に、支払いを行わせることが必要です」
給料からの天引きが最も楽な方法に思えるが、それについては違法となる可能性が高いため控えるようご注意頂きたい。
またそもそも不正受給は、濱悠吾弁護士が言うように、詐欺罪(懲役10年以下)という立派な犯罪であることも忘れてはならない。