厚生労働省がブラック企業対策に本腰を入れている。昨年のインターネット上の求人の監視から始まり、今年の3月には新たに、法令違反を繰り返す企業からの求人を、ハローワークが受理しないという制度がスタートする。更に、複数の審査項目を設け、一定基準を上回った企業を、若者が働きやすい会社と認定し、支援する制度も検討されている。次々と施策を打ち出す厚生労働省だが、この背景には、学生の約6割がアルバイトでのトラブルを経験したことがあると回答した、昨年11月発表の「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査結果」(対象は1000人)も少なからず影響している。そこで今回はアルバイトでのトラブルの一例として、退職時に雇用主から言われる一言「次の人を見つけてきたら辞めてもいいよ」というのが法的に問題がないかどうかを山崎佳寿幸弁護士に寄稿して頂いた。
■契約自由の原則から考えても、当事者が納得していれば一見妥当にも思えるが…
契約自由の原則があることを考えれば、退職について、このような制限を加えることも許されるように思えます。
契約自由の原則には、どのような契約を結ぼうと自由である(契約内容の自由)があります。契約当事者が、自由な意思で合意したのであれば、有効と考えることもできます。
しかし、現代社会では、この契約自由の原則も、社会的な要請で制限されています。
そして、雇用の場面では、雇用主の方が労働者より圧倒的に優位な立場にあります。すると、弱者である労働者を保護するために、契約自由の原則が制約される場面が登場します。
■「次の人を見つけてきたら辞めてもいい」というのは無効!
民法627条は、第1項で、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と規定しています。
そして第2項は「期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない」と定めています。
この条文について、 東京地方裁判所昭和51年10月29日判決判例時報841号102頁は、「法は、労働者が労働契約から脱することを欲する場合に、これを制限する手段となりうるものを極力排斥して労働者の解約の自由を保障しようとしている」との解釈を示しました。
つまり「次の人を見つけてきたら辞めてもよい」という条件をつけることは、労働者が労働契約を脱することを欲する場合に、これを制限する手段となり得ます。
従って、法律的には無効といえます。
■退職を伝え、2週間経過すれば、退職は可能!
では、退職の効果についてはどのように解釈するべきでしょうか。
民法627条1項の規定によれば、たとえ雇用主が拒否しても、労働者の退職の意思が雇用主に到達すると、その到達した日から2週間を経過することで、退職の効果を生じることになります。
そこで、「他の人を見つけるまでは辞めさせない」という雇用主に対しては、配達証明付内容証明郵便で退職の意思を伝え、その郵便が雇用主に到達して2週間を経過したところで、退職の効果が生じたものすることができます。
■契約自由の原則から考えても、当事者が納得していれば一見妥当にも思えるが…
契約自由の原則があることを考えれば、退職について、このような制限を加えることも許されるように思えます。
契約自由の原則には、どのような契約を結ぼうと自由である(契約内容の自由)があります。契約当事者が、自由な意思で合意したのであれば、有効と考えることもできます。
しかし、現代社会では、この契約自由の原則も、社会的な要請で制限されています。
そして、雇用の場面では、雇用主の方が労働者より圧倒的に優位な立場にあります。すると、弱者である労働者を保護するために、契約自由の原則が制約される場面が登場します。
■「次の人を見つけてきたら辞めてもいい」というのは無効!
民法627条は、第1項で、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する」と規定しています。
そして第2項は「期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない」と定めています。
この条文について、 東京地方裁判所昭和51年10月29日判決判例時報841号102頁は、「法は、労働者が労働契約から脱することを欲する場合に、これを制限する手段となりうるものを極力排斥して労働者の解約の自由を保障しようとしている」との解釈を示しました。
つまり「次の人を見つけてきたら辞めてもよい」という条件をつけることは、労働者が労働契約を脱することを欲する場合に、これを制限する手段となり得ます。
従って、法律的には無効といえます。
■退職を伝え、2週間経過すれば、退職は可能!
では、退職の効果についてはどのように解釈するべきでしょうか。
民法627条1項の規定によれば、たとえ雇用主が拒否しても、労働者の退職の意思が雇用主に到達すると、その到達した日から2週間を経過することで、退職の効果を生じることになります。
そこで、「他の人を見つけるまでは辞めさせない」という雇用主に対しては、配達証明付内容証明郵便で退職の意思を伝え、その郵便が雇用主に到達して2週間を経過したところで、退職の効果が生じたものすることができます。