以前、消防車や救急車などが違法駐車によって緊急活動が行えない場合、その違法駐車の持ち主にどんな罪が課せられるのかについてまとめた。
例えば消火栓上に違法駐車があった場合、当然のことながら消火栓が使えないため、消火活動を行えないわけだが、そのようなケースではどんな罪に問われる可能性があるか。
あるいは緊急車両が目的地に向かう際、そのルート上に違法駐車があり、目的地に到着することが出来ないケースなど。
まずはそれらに対する諏訪高橋法律事務所の高橋和央弁護士から得た回答を紹介する。
■違法駐車によって消火活動が行えないケース
まずは前者の消火活動が行えないケースについて、関連がある法律として1年以上10年以下の懲役刑が科される消化妨害罪(火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者)がある。
「『隠匿』というのは隠すことで、『損壊』は壊すことですが、『その他の方法』の中には、通路に障害物を置いて消防自動車の現場到達を妨害する行為などが含まれますので、状況によっては違法駐車も『その他の方法』に含まれる可能性があります。ただしこの刑法114条は、条文上『火災の際に』という限定がなされていますので、たまたま違法駐車していたところ火災が発生して消火活動に支障が生じたとしても消火妨害罪は成立しません」(高橋和央弁護士)
違法駐車は勿論悪いことだが、駐車した後に、そこで火事が発生することなど知る由もないことを考えると当然のことかもしれない。
■違法駐車によって緊急車両が目的地に到達できないケース
ではもう一つの違法駐車によって緊急車両が目的に到達できない、あるいはルート変更を迫られ、その結果、緊急活動に支障をきたした場合はどうだろうか。
「犯罪は、原則として故意か過失がなければ成立しません。違法駐車の場合,駐車することの認識はあっても、この場所に『救急車や消防車が来て、駐車車両のため通行できず、ルート変更をして活動に影響がでる』ということまで予想できることは少ないと思います。つまり、駐車違反を超えて別の犯罪として捜査されるという可能性は低いと思います」(高橋和央弁護士)
先程の回答と同様に、やはり罪に問われる可能性は低いとのこと。
■邪魔な違法駐車を強引に動かし破損させた場合の修理費
では最後に、活動を行うために違法駐車を乱暴に移動し、それが原因でその違法駐車に破損が生じた場合の修理費は誰が負担するべきなのだろうか。
「違法駐車の車両だから何をしても構わないということにはなりませんので、違法駐車であっても車両を壊されれば修理代を請求できるのが原則です。しかし消防車や救急車が出動している場合、緊急性の認められるケースが殆どと思われますので、民法上、正当防衛ないし緊急避難が成立して、修理代の支払い義務を負わない場合が少なくないと考えられます。」
違法駐車をしていることと、破損させたことは別問題であるため、一般の方々がそのような強硬手段にでればそれは当然その方が修理費を負担するという。しかしそれが救急隊員であった場合は、修理費負担の義務を負わない可能性が低いとのこと。
■英国には違法駐車を通報すると報酬が貰えるアプリがある
昨年の12月19日の神戸新聞によると、神戸市内では違法駐車が大幅に減っているという。県警は「制度開始から10年が過ぎた駐車監視員の活動や放置違反金制度が浸透した結果では」と発表している。
一方で英国の駐車場管理を行うCPMという会社は、違法駐車を通報すると、罰金の16%が報酬として支払われるアプリをリリースし大きな話題を呼んだ。
もっともこの違法駐車は、英国内全ての違法駐車に当てはまるわけではなく、CPMが管理する駐車場にのみ適応される。ちなみにCPMが管理する駐車場にはマクドナルドや大型スーパーチェーン店もあるため、このアプリによる影響は非常に大きいだろう。
通報という仕組みの是非や、民間企業か否かという問題はあるだろうが、このような方法のほうが低コストかつ圧倒的なスピードで浸透していくのではと思うのだが、みなさんは如何だろうか。
例えば消火栓上に違法駐車があった場合、当然のことながら消火栓が使えないため、消火活動を行えないわけだが、そのようなケースではどんな罪に問われる可能性があるか。
あるいは緊急車両が目的地に向かう際、そのルート上に違法駐車があり、目的地に到着することが出来ないケースなど。
まずはそれらに対する諏訪高橋法律事務所の高橋和央弁護士から得た回答を紹介する。
■違法駐車によって消火活動が行えないケース
まずは前者の消火活動が行えないケースについて、関連がある法律として1年以上10年以下の懲役刑が科される消化妨害罪(火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者)がある。
「『隠匿』というのは隠すことで、『損壊』は壊すことですが、『その他の方法』の中には、通路に障害物を置いて消防自動車の現場到達を妨害する行為などが含まれますので、状況によっては違法駐車も『その他の方法』に含まれる可能性があります。ただしこの刑法114条は、条文上『火災の際に』という限定がなされていますので、たまたま違法駐車していたところ火災が発生して消火活動に支障が生じたとしても消火妨害罪は成立しません」(高橋和央弁護士)
違法駐車は勿論悪いことだが、駐車した後に、そこで火事が発生することなど知る由もないことを考えると当然のことかもしれない。
■違法駐車によって緊急車両が目的地に到達できないケース
ではもう一つの違法駐車によって緊急車両が目的に到達できない、あるいはルート変更を迫られ、その結果、緊急活動に支障をきたした場合はどうだろうか。
「犯罪は、原則として故意か過失がなければ成立しません。違法駐車の場合,駐車することの認識はあっても、この場所に『救急車や消防車が来て、駐車車両のため通行できず、ルート変更をして活動に影響がでる』ということまで予想できることは少ないと思います。つまり、駐車違反を超えて別の犯罪として捜査されるという可能性は低いと思います」(高橋和央弁護士)
先程の回答と同様に、やはり罪に問われる可能性は低いとのこと。
■邪魔な違法駐車を強引に動かし破損させた場合の修理費
では最後に、活動を行うために違法駐車を乱暴に移動し、それが原因でその違法駐車に破損が生じた場合の修理費は誰が負担するべきなのだろうか。
「違法駐車の車両だから何をしても構わないということにはなりませんので、違法駐車であっても車両を壊されれば修理代を請求できるのが原則です。しかし消防車や救急車が出動している場合、緊急性の認められるケースが殆どと思われますので、民法上、正当防衛ないし緊急避難が成立して、修理代の支払い義務を負わない場合が少なくないと考えられます。」
違法駐車をしていることと、破損させたことは別問題であるため、一般の方々がそのような強硬手段にでればそれは当然その方が修理費を負担するという。しかしそれが救急隊員であった場合は、修理費負担の義務を負わない可能性が低いとのこと。
■英国には違法駐車を通報すると報酬が貰えるアプリがある
昨年の12月19日の神戸新聞によると、神戸市内では違法駐車が大幅に減っているという。県警は「制度開始から10年が過ぎた駐車監視員の活動や放置違反金制度が浸透した結果では」と発表している。
一方で英国の駐車場管理を行うCPMという会社は、違法駐車を通報すると、罰金の16%が報酬として支払われるアプリをリリースし大きな話題を呼んだ。
もっともこの違法駐車は、英国内全ての違法駐車に当てはまるわけではなく、CPMが管理する駐車場にのみ適応される。ちなみにCPMが管理する駐車場にはマクドナルドや大型スーパーチェーン店もあるため、このアプリによる影響は非常に大きいだろう。
通報という仕組みの是非や、民間企業か否かという問題はあるだろうが、このような方法のほうが低コストかつ圧倒的なスピードで浸透していくのではと思うのだが、みなさんは如何だろうか。