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「これは名義預金ですね」と指摘された場合の対処方法を元国税調査官が解説

相談LINE 2017年7月11日 19時0分

名義預金として国税が税金を課税するには、子供や配偶者などの名義となっている預金が被相続人の預金であることを国税が立証しなければなりません。このため、安易に国税の指摘に従うのではなく、粘り強く反論することを心がけておく必要があります。

■出捐と管理運用が肝になる

相続税の税務調査で問題になる名義預金については、誰がお金を出していたか(出捐者)、その管理運用を誰がしていたのかが問題になります。このため、申告に当たっては、これらの状況を整理した上で、反論できるよう証拠を整備しておく必要があります。特に、以下のような場合には注意が必要です。

(1)名義人に十分な収入がない場合
名義人が専業主婦である配偶者や学生である子供など、定職についていない場合には、どうやって名義預金にある残高を作ったのか、きちんと立証する必要があります。
この点、納税者の立証が十分でないとして、納税者が負けた事例もあります。

(2)名義預金の入金時点と被相続人の他の口座の出金時点が近い場合
名義預金の入金時点と被相続人の他の口座の出金時点が近い場合、名義預金の原資となるお金は、被相続人から来たと解釈するのが自然です。このため、何に使ったのか使途を明確にする必要があります。

■生前に贈与したという反論

ところで、名義預金が問題になる場合、往々にして納税者からなされる反論の一つに、生前に被相続人から贈与を受けた、というものがあります。有効に贈与を受けたのであれば、相続財産に該当することはありませんし、被相続人が資金を出していることも全く不自然ではありません。

しかし、ここで問題になるのは、生前に贈与を受けた、という反論が極めて難しいことにあります。贈与は、贈与者に贈与するという意思があり、贈与を受ける受贈者に贈与を受ける、という意思があることが要件になっていますが、このような意思を立証するのは容易ではありません。

実際のところ、親族間で贈与をする場合、贈与契約書などほとんど作らないと思いますが、贈与があったと主張するためには、証拠となる贈与契約書が有効になりますので、きちんと記録を残しておく必要があります。

■贈与税の申告書は確実ではない

なお、贈与の立証が難しいことから、少ない金額で毎年贈与をし、贈与税の申告納税をしておく、という対策を取られる方もいらっしゃいますが、贈与税の申告があるだけでは決め手にならないとした判例があります。

贈与が成立しているか、非常に微妙な部分が大きいですから、十分な証拠を作る必要があります。

専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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