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一千万以上の資産購入時に発動される高額特定資産の制限規定の意味を考える

相談LINE 2017年7月24日 19時0分

平成28年度改正により、高額特定資産の制限という規定が消費税法において導入されました。この規定は、1千万円以上の固定資産を購入した場合に発動されるもので、このような固定資産を購入した場合、購入した年度において消費税の課税事業者であれば、原則としてその購入した年度から3年間、消費税の免税事業者になることができません。

■還付を制限するための規定

このような制度が導入されたのは、消費税の還付を制限するためです。設備投資をするような場合、消費税を多く支払うことになりますので、消費税の還付を受けやすくなりますが、法律の趣旨からして問題があるような還付スキームがたくさんあると言われていました。この典型例としては、居住用アパートに投資するような場合が挙げられます。

居住用アパートは、建物ですので消費税が課税されますが、居住用アパートの賃料は消費税がかかりませんので、建物の消費税については消費税の還付の対象には原則としてならないとされています。しかしながら、設備投資を行う事業年度においてうまく操作をすると、消費税の還付を受けることができます。

この操作の典型例が自販機スキームと言われるもので、設備投資を行った年度においては敢えて賃料を受け取らないこととし、自販機の手数料だけを収入することとすれば、消費税の還付を受けることができます。

■自販機スキームの制限

この自販機スキームですが、現状かなり多くの制限があります。その制限が、3年後の取り戻し課税と言われるものです。設備投資をしてから3年後、所定の要件を満たすと設備投資年度において還付した消費税のうち、一定の金額を国に返さなければならないとされています。ここでいう所定の要件ですが、複雑なので詳細は割愛しますが、居住用アパートに投資するような場合には、原則該当することになっています。

ただし、この取り戻し課税についても実は抜け道があり、3年後に消費税を納める義務がない免税事業者に該当すれば、無制限で取り戻し課税の対象外とされていました。こうなると、本来取り戻すことができる還付金を国は取り戻すことができませんので、冒頭に述べた高額特定資産の制限が設けられたのです。この制限があるため、3年後は必ず免税事業者にならず、取り戻し課税の対象になることになります。

■還付は不可ではない

このため、今後は消費税の還付に大きな制限がかかり、居住用アパートに投資するような場合には、還付を受けられないとする見解も見られますが、いろいろと制限があるものの、還付を受けることは不可能ではありません。関心のある方は、こちらまでお尋ねください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。実質完全無料の相談サービスを提供する。

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