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相続税の節税目的で「一般社団法人」を検討する際に考慮すべき二つのリスク

相談LINE 2017年11月1日 19時0分

相続税対策として、最も使われるスキームの一つに、一般社団法人があります。一般社団法人に個人の財産を移してしまえば、理論上、永久にその財産に相続税が課税されることがないためよく使われるのですが、このようなうまい話には当然リスクがあると言われる訳で、例えば以下のようなリスクには注意する必要があります。
(1)税制改正のリスク
(2)暴挙に出る税務調査のリスク

■(1)税制改正のリスクとは

歴史を振り返ると分かる通り、安易な節税について、国は法律を改正することで封じ込めを図っています。ただし、税制改正には、将来に行う節税を禁止する、という暗黙のルールがあります。このため、今までやった節税は目をつぶるけど、今後やる節税には目をつぶらないとなる訳で、一般社団法人についても、そうならないよう改正が実現する前に行うべき、と言われます。

しかし、この暗黙のルールが一般社団法人には通用しない可能性があります。と言いますのも、一般社団法人は役員に当たる理事が組織を運営しますので、一般社団法人に移された財産については、役員がそれを使い、利益を受けることが可能になります。となれば、将来できる法律については、新しく役員を追加したり、役員の数が減ったりした段階で課税する、といった制度になる可能性があり、となると税制改正は、改正の法律が通った後に設立する一般社団法人についてではなく、その後に行う役員変更等について適用する、とされる可能性があります。

このあたり、一般の税理士や節税コンサルは全く考えていない可能性がありますので、慎重に対応する必要があります。

■(2)暴挙に出る税務調査のリスク

安易な節税が行われていたとしても、権力闘争に明け暮れる政治家にとってこの問題は大したことではありませんので、税制改正がすぐに実現するわけではありません。こうなると、国税にとっては面白くないので、裁判で負けても政治家にインパクトを与えるニュースになればいい、位の安易な感覚で強引な課税をすることがあります。

裁判で勝てたとしても、このような強引な課税を受けるだけで不利益になりますから、この点からも税務調査を見据えて対策を取っておく必要があります。税理士は別にして、税務調査など知らない節税コンサルはこのような対策を取りませんから、注意してください。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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