法人税は事業年度ごとに納税を行いますが、ある年度は赤字、またある年度は黒字となり、利益状況は事業年度によって異なりますので、利益に対して課税される法人税の額も、年度によって異なります。こうなると、会社にとっては年度ごとの資金繰りに問題が生じますので、その影響を緩和するために、欠損金の繰越控除と欠損金の繰戻還付という二つの制度が設けられています。
欠損金の繰越控除は、過去の年度に発生した赤字を当期の黒字と相殺するものであり、欠損金の繰戻還付は、前年度などに発生した黒字について納税した法人税額につき、当期に発生した赤字があれば、その一部を還付するものです。
■具体的な要件など
欠損金の繰戻還付により還付される法人税額は、原則として以下の通りです。
還付金額=前年度などに発生した法人税額×当期の欠損金額/前年度などの所得金額
加えて、この制度は、以下の要件を満たす場合に限り適用されます。
1 還付の対象になる前年度などから、赤字となる当期まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
2 赤字となる当期の申告書は、その期限内に提出していること
3 2の申告書と同時に、欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること
なお、現在この制度は、原則として中小企業者だけに適用されており、大法人は原則として対象外となっています。
■請求する前に押さえておくべきこと
この欠損金の繰戻還付を行う場合には、一旦納税した税金を国が返すことになるため、原則として税務調査が実施されることを押さえておく必要があります。実際に会社に臨場して行う税務調査(実地の調査)がなされるかは別にして、還付請求書の内容については審査されることになるため、予め対策を講じておく必要があります。
なお、欠損金の繰戻還付を受けない場合、当期に発生した赤字については翌年度以降欠損金の繰越控除の対象になりますので、将来の黒字と相殺することができます。このため、将来黒字が生じることが確実視されるのであれば、税務調査のリスクと照らし合わせて、敢えて欠損金の繰戻還付の適用を受けない、という選択も一考の余地があります。
この点、顧問税理士と相談しながら、慎重に検討する必要があります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。
欠損金の繰越控除は、過去の年度に発生した赤字を当期の黒字と相殺するものであり、欠損金の繰戻還付は、前年度などに発生した黒字について納税した法人税額につき、当期に発生した赤字があれば、その一部を還付するものです。
■具体的な要件など
欠損金の繰戻還付により還付される法人税額は、原則として以下の通りです。
還付金額=前年度などに発生した法人税額×当期の欠損金額/前年度などの所得金額
加えて、この制度は、以下の要件を満たす場合に限り適用されます。
1 還付の対象になる前年度などから、赤字となる当期まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
2 赤字となる当期の申告書は、その期限内に提出していること
3 2の申告書と同時に、欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出すること
なお、現在この制度は、原則として中小企業者だけに適用されており、大法人は原則として対象外となっています。
■請求する前に押さえておくべきこと
この欠損金の繰戻還付を行う場合には、一旦納税した税金を国が返すことになるため、原則として税務調査が実施されることを押さえておく必要があります。実際に会社に臨場して行う税務調査(実地の調査)がなされるかは別にして、還付請求書の内容については審査されることになるため、予め対策を講じておく必要があります。
なお、欠損金の繰戻還付を受けない場合、当期に発生した赤字については翌年度以降欠損金の繰越控除の対象になりますので、将来の黒字と相殺することができます。このため、将来黒字が生じることが確実視されるのであれば、税務調査のリスクと照らし合わせて、敢えて欠損金の繰戻還付の適用を受けない、という選択も一考の余地があります。
この点、顧問税理士と相談しながら、慎重に検討する必要があります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。