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社宅家賃の正しい値段設定の仕方と計算方法の細かいポイントを解説!

相談LINE 2018年3月29日 19時0分

役員や従業員に社宅を貸す場合、適正賃料以上の家賃を収入しなければ、入居者である役員や従業員に対してお給料を支払ったとして給与課税がなされます。実務上、適用例が多い役員についてですが、適正賃料の金額は、原則として以下の(1)~(3)の合計額とされます。

■適正賃料の金額

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(㎡)/(3.3㎡))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

■1棟の建物一部の場合などの計算

社宅については、家ごと貸すのではなく、一部屋など1棟の建物の一部である場合や、1筆の土地の一部である場合などがほとんどです。一方で、上記の算式における建物や敷地の固定資産税の課税標準額は、建物全体や敷地全体で決まっている場合が多くあります。

このような場合には、上記(1)の建物の固定資産税の課税標準額は、貸与部分の床面積を1棟の総床面積で按分し、上記(3)の敷地の固定資産税の課税標準額は、使用する家屋の敷地の面積を1筆の土地全体の面積で按分することになります。

なお、この取扱いは国税庁の通達では明確ではなく、国税庁のOB税理士の書籍に記載があります。基本的に、OB税理士は国税の内規を自分の見解のように発表して売名行為に使いますので、このような取扱いで問題ないと考えられます。

■固定資産税の課税標準額の意義

その他、上記の算式において固定資産税の課税標準額とありますが、この金額は、固定資産税の賦課期日である1月1日において、固定資産の価格として固定資産課税台帳に登録されているものをいうこととされています。

ここで問題になるのが、固定資産税の課税標準額が軽減される住宅用地の課税標準の特例の適用がある場合です。この適用がある住宅用地について、軽減される前の課税標準額を使うのか、それとも軽減された後の課税標準額を使うのか、国税の通達を見ても書いていませんので判断に迷います。

こちらにつきましても、ある国税庁のOB税理士の書物に、住宅用地の所有者は、現に固定資産税の軽減を受けていることなどの理由により、軽減特例を受けた後の課税標準額で問題ないと書かれてあります。このため、その適用後の金額を基礎に計算することで問題ありません。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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