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【ヤマダ電機の申告漏れ】外貨建資産を円換算して税務処理する際の注意点

相談LINE 2018年5月1日 19時0分

海外企業との取引がある場合には、決算日において、海外の会社に対する外貨建ての売掛金や買掛金が計上されることがあります。この外貨建資産負債については、法人税法上は円ベースで考える必要があるため、円に換算する必要があります。

■外貨建資産を円換算する場合のルール

円換算のルールとして、以下の二つの方法があります。

期末時換算法・・・期末のレートで換算する方法。取引時との為替差損益が計上される
発生時換算法・・・発生時のレートで換算する方法。取引レートと同様であるため、為替差損益は計上されない

■換算方法の取扱い

上記の二つの方法がありますが、法人税法上は原則として以下の資産の区分に応じ、以下の方法で計算することになっています。

外貨建金銭債権債務(短期):期末時換算法
外貨建金銭債権債務(長期):発生時換算法
売買目的の有価証券:期末時換算法
売買目的外の有価証券:発生時換算法
外貨預金(短期):期末時換算法
外貨預金(長期):発生時換算法
外国通貨:期末時換算法

なお、上記において「短期」とは決算日の翌日から1年以内に決済されるものをいいます。このため、外貨建ての売掛金や買掛金は原則として期末時換算法になり、長期の貸付金は原則として発生時換算法となります。

簡単に言えば、すぐに現金や円に転換できるようなものは期末時換算法で換算をし、それ以外のものは発生時換算法で換算するのが大原則なのです。

■大原則だけを押さえていると痛い目に

先日、ヤマダ電機が税務調査で40億円の申告漏れを指摘されたというニュースが報道されました。

ここで問題になったのは、海外子会社に対して貸し付けた貸付金の円換算です。貸付金については、上記の通り短期は期末時換算法、長期は発生時換算法となります。このため、貸付金のうち1年以内に返済期限が到来するものは期末時換算法で換算をし、為替差損益を認識する必要があります。しかし、この返済期限ごとの区分をしていなかったようで、結果として為替差益の計上もれが発生したということです。

ケアレスミスといえばそれまでですが、税務に関する知識があると、逆にこのようなミスは発生しやすいです。といいますのも、税務上、円建ての貸付金は、その回収可能性が減ったとしても評価換えをしないというのが原則だからです。外貨建であればこれとは違う取扱いとなりますので、注意が必要です。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士向けのコンサルティングを中心に118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開するとともに、法律論や交渉術に関する無料メルマガを配信中。

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