個人が資産を売却した場合に課される譲渡所得については、経費として譲渡に要した費用である譲渡費用を控除することができるとされています。譲渡に要した費用というと、かなり広い範囲の費用がこれに該当すると考えるかもしれませんが、実際のところその範囲は非常に制限されています。
■譲渡費用に該当する6つ
具体的には、以下のような費用がこれに該当するとされています。
(1) 土地や建物を売却するために生じた、仲介手数料
(2) 土地や建物を売却する際、契約書に必要になる印紙税で売主が負担したもの
(3) 貸家を売却するため、借家人に支払う立退料
(4) 土地を売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用など
(5) 既に売買契約を締結している資産について、更に有利な条件で売るために、既契約者との契約解除に伴い支出した違約金など
(6) 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
■譲渡費用に該当しないもの
一方で、以下のような費用は譲渡費用に該当しないとされています。
イ 売却した建物の維持や管理のためにかかった修繕費などの費用
ロ 売却代金の取立てのための費用
ハ 抵当権が付されている土地を売却するために必要になる、抵当権の抹消登記費用
ニ 居住の用に供している建物を売却するために、その建物から別の建物に引っ越しをする引っ越し費用
上記の費用は、すべて譲渡に必要と言えば必要ですから、譲渡費用に該当しないと言われるとかなり違和感が生じることも事実です。この点、譲渡費用の意義として、譲渡に「直接」必要であることが要件であるためと説明されています。
具体的に見ていくと、イは譲渡ではなく維持管理のための費用ですから、譲渡するにあたって建物の維持管理は必要であるものの、譲渡とは直接関係ない費用として対象外とされます。次のロ~二も同様で、譲渡するにあたって発生する費用ですが、譲渡そのものに必要とは言えませんので、対象外とされています。
■近年の傾向として
ただし、近年の傾向としては、平成18年の最高裁判例による判断基準で譲渡費用に該当するかどうかを判断することが多いです。この最高裁判例では、「現実に行われた資産の譲渡を前提として、譲渡費用は客観的に見て譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうか」によって判断されるとされています。
このため、単に上記の例示を前提とするのではなく、専門家の意見も聞きながら、この基準に沿う費用かどうか慎重に検討する必要があります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。
■譲渡費用に該当する6つ
具体的には、以下のような費用がこれに該当するとされています。
(1) 土地や建物を売却するために生じた、仲介手数料
(2) 土地や建物を売却する際、契約書に必要になる印紙税で売主が負担したもの
(3) 貸家を売却するため、借家人に支払う立退料
(4) 土地を売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用など
(5) 既に売買契約を締結している資産について、更に有利な条件で売るために、既契約者との契約解除に伴い支出した違約金など
(6) 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など
■譲渡費用に該当しないもの
一方で、以下のような費用は譲渡費用に該当しないとされています。
イ 売却した建物の維持や管理のためにかかった修繕費などの費用
ロ 売却代金の取立てのための費用
ハ 抵当権が付されている土地を売却するために必要になる、抵当権の抹消登記費用
ニ 居住の用に供している建物を売却するために、その建物から別の建物に引っ越しをする引っ越し費用
上記の費用は、すべて譲渡に必要と言えば必要ですから、譲渡費用に該当しないと言われるとかなり違和感が生じることも事実です。この点、譲渡費用の意義として、譲渡に「直接」必要であることが要件であるためと説明されています。
具体的に見ていくと、イは譲渡ではなく維持管理のための費用ですから、譲渡するにあたって建物の維持管理は必要であるものの、譲渡とは直接関係ない費用として対象外とされます。次のロ~二も同様で、譲渡するにあたって発生する費用ですが、譲渡そのものに必要とは言えませんので、対象外とされています。
■近年の傾向として
ただし、近年の傾向としては、平成18年の最高裁判例による判断基準で譲渡費用に該当するかどうかを判断することが多いです。この最高裁判例では、「現実に行われた資産の譲渡を前提として、譲渡費用は客観的に見て譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうか」によって判断されるとされています。
このため、単に上記の例示を前提とするのではなく、専門家の意見も聞きながら、この基準に沿う費用かどうか慎重に検討する必要があります。
■専門家プロフィール
元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。